カキ果実の利用に関する研究 (第4報) : 富有の冷蔵における包装の効果
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概要
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富有ガキの貯蔵適温が0°C附近にあることを前報で指摘した。本実験は,その適温に貯蔵するに際しての各種包装材料の実用性について調べたものである。 1.ポリエチレン区およびデシケーター区は2〜3か月貯蔵しても重量減は1%以内に留まるが,標準区,木毛区,もみがら区では6〜7%にも達した。通常減量が5%位に至ると目にみえてしわが生じ,肉質は弾性を帯びて品質は非常に低下する。 2.ポリエチレン袋およびデシケーター中の炭酸ガスの増加は貯蔵初期に速やかに起り,1か月後で5%(0.03mmポリエチレン袋)から50%あるいはそれ以上(デシケーター)にも達する。中でも0.08mmポリエチレン区およびデシケーター区では,炭酸ガスの濃度が高すぎるためか,長期間には生理的障害が現われて来る。 3.冷蔵庫より室温に取出した後の追熟および腐敗の進行は,ポリエチレン袋に詰めた区の方が開放区よりゆるやかで,中でも0.06mmポリエチレン区が最も良かつた。 4.以上の結果から,温度は0°C,関係湿度は大体100%,果実の環境ガス条件は酸素5%,炭酸ガス5〜8%位が富有の貯蔵に最適の条件のようであつた。このためには,0.06mmのポリエチレン袋に柿果を詰め,0°Cに貯蔵する方法が最も良いと考えられた。
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