イカ眼部の抗酸化システム : 脂質組成と水溶性抗酸化成分
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概要
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イカ眼部の脂質の特徴について検討した。主な脂質はコレステロール (27.3%), ホスファチジルコリン (PC; 30.7%), ホスファチジルエタノールァミン (32.8%) であった。主要構成脂肪酸は22 : 6n-3 (DHA) と16 : 0で, PCの主要分子種は1-16 : 0-2-DHA-PCであった。イカ眼部PCの酸化安定性について比較検討したところ, イカ眼部PCリポソームは大豆PCリポソームよりも安定なことがわかった。イカ眼部には1124μg/g脂質のα-トコフェロールが含まれており, また, イカ眼部から抽出された水溶性成分は, リポソーム及びエマルションいずれの分散系についても強い抗酸化活性を示した。したがって, こうしたイカ眼部中の高いトコフェロールレベルと, 水溶性抗酸化物質の存在が, イカ眼部脂質の酸化安定性維持に重要な役割を果たしているものと考えられた。
著者
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宮下 和夫
北海道大学大学院・水産科学研究科・生命資源科学専攻・生物資源化学講座
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宮下 和夫
北海道大学水産学部
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奈良 英一
北海道大学水産学部
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廣瀬 敦司
北海道大学水産学部
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山本 華菜子
北海道大学水産学部
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小竹 真理
北海道大学水産学部
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