聴覚障害者の視覚と聴覚による音声知覚の評価
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概要
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読話を併用すると音声知覚能力が有利になるような比較的障害の重い聴覚障害者の音声知覚能力を評価するための方法を作成した.その方法とは, 聴取+読話・聴取だけ・読話だけの3条件での音声知覚の成績を比較できるように, 単音節・単語・文の各レベルについて, (A) 音韻分布 (B) 同口形音韻の分布 (C) 時間的な長さ (D) 意味的な難易度の分布に関して等しい頻度から成る等価リストを録音・録画し, ビデオモニタに通じて提示し, 音声の知覚能力を調べるものである.<BR>この方法を用いて, ろう学校中等部の先天性聴覚障害者22名の音声知覚を評価した.その結果, 次のことがわかった. (1) 評価の結果, 視覚と聴覚の併用の効果がはっきりと認められたのは9人, 認められなかった者は6人であった. (2) 併用効果有・不明・無の群の聴覚障害者の聴力は, 有・不明・無の順に低下する傾向にあった. (3) 併用効果有と無の群の間には視覚による音声知覚の成績には差はなく, 両者の差は聴覚による音声知覚能力の差がその原因と考えられた.<BR>以上の結果から, 補聴器の使用が音声知覚に寄与しないような聴覚障害者には, 補聴器以外から音声情報を取り込む方法を試みる必要性が示唆された.
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