3-ヒドロオキシフラボンによる鉄(III)の抽出吸光光度定量

概要

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3-ヒドロオキシフラボンによる鉄(III)の抽出吸光光度定量法について検討した.鉄(III)はフラボノール誘導体の3,4-位および4,5-位間のいずれとも反応するが,3,4-位間のほうが4,5-位間より錯形成を行ないやすいことを認めた.鉄(III)と3-ヒドロオキシフラボンとの錯体は種々の溶媒に抽出されて安定である.有機相に抽出された錯体の結合比は鉄(III);3-ヒドロオキシフラボン=1:3である.抽出溶媒としてベンゼンを用いると,407mμおよび470〜480mμに吸収帯を有し,長波長側の吸収帯はpH3.5〜9.0の領域で一定最大の吸光度値を示す.抽出された錯体の吸光度値に影響を及ぼす諸因子の検討の結果,定量の最適条件では鉄(III)濃度0.2〜4.0×10-5M(有機相)でベールの法則が成立する.錯体の分子吸光係数は407mμおよび475mμにおいてそれぞれ5.6×104,1.4×104である.コバルト(II),ニッケル(II),亜鉛(II),銅(II),アルミニウム(III),チタン(IV),ジルコニウム(IV),トリウム(IV),バナジウム(V),ウラン(VI),モリブデン(VI)およびタングステン(VI)などは100〜300μg程度共存しても鉄(III)の定量を妨害しない.
社団法人日本分析化学会の論文