酸性色素分子および有機配位子とミセルの正荷電との相互作用
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概要
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酸性色素分子および有機配位子と第4級アンモニウム塩との相互作用について検討した.共役系の両端にニトロ基あるいはカルボニル基などの電子受容基と水酸基のような電子供与基を有する酸性色素分子はミセル表面でミセルの正荷電と色素分子の双極子との相互作用により色素分子の水酸基の酸解離が促進されることを認めた.この相互作用の程度は色素分子の酸性度とともに増大する.相互作用に基づく酸解離の自由エネルギー変化に対してはエンタルピー項が支配的で,ミセル形成濃度の小さい第4級アンモニウム塩ほどこのエンタルピー変化は小さく,相互作用は強くなる傾向にある.<BR>ミセルの正荷電サイト(R<SUB>2</SUB>RRN<SUP>+</SUP>)と酸性色素分子との相互作用を次のように示すと,ミセル表面での色素分子の酸解離の平衡定数log <I>k</I><SUB>2</SUB>は<BR>R<SUB>2</SUB>RRN・HA+R<SUB>2</SUB>RRN<SUP>+</SUP>〓(R<SUB>2</SUB>RRN)<SUB>2</SUB>A+H<SUP>+</SUP><BR><I>k</I><SUB>2</SUB>= [(R<SUB>2</SUB>RRN)<SUB>2</SUB>A][H<SUP>+</SUP>]/[R<SUB>2</SUB>RRN・HA][R<SUB>2</SUB>RRN<SUP>+</SUP>]<BR>-3.0<SUB>4</SUB> (dodecyl dimethyl benzylammonium chloride),-2.0 (tetradecyl dimethyl benzylammonium chloride), -1.0 (hexadecyl dimethyl benzylammonium chloride) である.<BR>色素分子に結合しているスルホン酸基は色素分子がミセル表面へ接近するのを有利にする.一方,イオン強度の増加あるいはエチルアルコール,アセトン,ジオキサンなどの有機溶媒の添加による誘電率の低下はいずれもミセルイオンと色素分子の双極子間との相互作用を抑制することを認めた。<BR>さらに,これらを基にしてミセルイオンの溶存する溶液中のエリオクロムブラックT,ピロカテコールバイオレット,エリオクロムシアニンRおよびキシレノールオレンジなどの有機配位子の挙動を明らかにした.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
著者
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石橋 信彦
九州大学工学部工業分析化学講座
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小原 人司
北九州工業高等専門学校化学工学科
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小原 人司
九州大学工学部工業分析化学教室
-
増崎 俊明
九州大学工学部工業分析化学教室
-
小原 人司
九州大学工学部
-
石橋 信彦
九州大学工学部
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