4 セメントの分析
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概要
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セメントの分析方法については日本工業規格にセメント中に通常存在する11成分の分析方法が規定されており, 標準的な方法として公式の場合はもちろん, 非公式な場合にも広く用いられているが, このほかにも外国規格としてのASTM法, Federal法, ISO法などがある.また工程管理, 品質管理などの目的から分析操作が簡単で迅速に結果の得られるいわゆる迅速分析法も種々開発され, 実際に用いられている.さらにまたごく最近においては, 微量ないし特殊成分の分析法も若干報告されている.<BR>従来, セメントの分折はもっぱら古典的な重量分析法, あるいは容量分析法に依存していたが, 近年, 各種装置類の発達に伴い分析化学における理論, 応用の面での飛躍的な発展に刺激され, セメントの分析方法も古典的な方法から近代的な方法へと脱皮しつつあり, すでに内外の諸規格にもキレート滴定法, EDTA滴定法が採り入れられている.また一方, セメントの分析では一, 二の特定の成分のみを定量することは比較的少なく, 通常は主要数成分あるいは全成分の定量が行なわれる.したがって, 微量ないし特殊成分の定量は別として, 系統的な分析方法が慣用されていることもセメント分析における一つの特徴といえよう.<BR>セメントの分析の実状を紹介するにあたり, 本稿では試料溶液の調製方法について一, 二述べたのち, 便宜上 (1) 標準的な方法, (2) 迅速性に主眼をおいた方法, (3) 微量ないし特殊成分の定量方法に大別して述べるが, (1) については現行のJIS法の概要を示したのち, 昨今改訂が考慮されている項目と方法について紹介するにとどめ, (2) についてはこれまでに報告されている各種の方法をキレート滴定法, 吸光光度法, 炎光光度法, 原子吸光光度法などを利用するいわゆる湿式迅速分析法とけい光X線分析法とに分け, 実用的な一, 二の方法を選んでやや詳しく述べるつもりである.なお発光分光分析による方法はいまだセメント分析においては実用性が乏しく, 紙数のつごうにより, 本稿では割愛するので, これに関しては文献を参照されたい.また (3) については最近注目されているものについて二, 三紹介したのち, 文献を紹介するので, 詳細は原報を参照されたい.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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