へパリン静注後血漿リパーゼとカイロミクロンとの反応異常がみられた高中性脂肪血症の1例
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概要
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妊娠中に高度の中性脂肪血症をきたし,膵炎を合併し流産に至つた28才,女性につきリポ蛋白画分の性状,ヘパリン静注後血漿リパーゼ活性,更にエストロジェン負荷試験を行ない,若干の知見を得たので報告する.リポ蛋白分画では,カイロミクロンと超低比重リポ蛋白の増加がみられ,高脂血症V型を呈した.カイロミクロンの脂質組成は変化なかつたが,巨大なカイロミクロンの存在がみられた.精製牛ミルクリポ蛋白ジパーゼによる患者のカイロミクロン中性脂肪分解は,正常者のカイロミクロンと差がみられなかつた.ヘパリン静注後血漿中には,基質としてTriton-Xl00で乳化したトリオレインを用いると,リポ蛋白リパーゼ活性と肝性リパーゼ活性は共に存在することが認められた.一方基質としてカイロミクロンを用いると,患者ヘパリン静注後血漿リパーゼ活性は,正常者のそれの11%しかみられなかつた.これらのことは本患者のヘパリン静注後血漿ジパーゼとカイロミクロンとの反応様式に異常のあることを推測された.更にエストロジェン(プレマリン11.25mg/日×2日)を負荷すると,血中中性脂肪値は, 600mg/dlから1200mg/dlと急上昇を示した.一方,脂肪制限食摂取後,血中中性脂肪値が300mg/dlに低下したとき,プレマリン11.25mg/日×6日を負荷しても中性脂肪値は上昇がみられなかつた.これらのことから高中性脂肪血症そのものが,エストロジェンによる血中中性脂肪上昇作用を助長している可能性が推測された.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
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熊谷 朗
千葉大学医学部第2内科学教室
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森崎 信尋
千葉大学医学部
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斉藤 康
千葉大学医学部第ニ内科
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白井 厚治
千葉大学医学部第二内科
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平良 真人
千大・二内
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上村 重明
千葉市立病院外科
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熊谷 朗
千葉大学医学部
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斉藤 康
千葉大学医学部
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平良 真人
千葉大学医学部第二内科
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松岡 信夫
川鉄健保千葉病院内科
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森崎 信尋
千葉大学医学部第二内科
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斉藤 康
千葉大学医学部第二内科
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白井 厚治
千葉大学医学部第2内科
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