自己抗体とその病因的意義
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
自己抗体および自己免疫疾患の意味を正しく理解するため,まず,異種,同種,自己という言葉を明らかにし,ついで,動物で作られた自己免疫疾患を,歴史的にたどりながら,両者の意味と相互の関係を概観した.流血抗体の病因的意義を考察する際,次の3項の検討が重要であると思われる. 1)対応抗原が抗体にaccessible (接触可能)か, inaccessible (隔絶)か. 2)抗原が生食水に可溶性か不溶性か. 3)抗原が標的細胞の膜表面に存在するか,細胞内にあるか.これらの観点から,ヒトにおける,一般によく知られた自己抗体と著者が経験した自己抗体とを例挙しながら,各抗体の病因的意義を考察した.著者が経験した自己抗体として, 1)抗組織寒冷凝集素. 2)トリプシン処理ヒトO型血球凝集素. 3)慢性糸球体腎炎患者にみられた抗組織抗体. 4)培養細胞膜抗原と反応する抗体(慢性糸球体腎炎,慢性関節リウマチ,アミロイドージス)を紹介した.この中で,健常人にもみられる自己抗体として,いくつかの自然抗体を示した.特異な自己抗体としてのリウマトイド因子に関し,この抗体が真に自己抗体か,或いは同種抗体かを論じ,この抗体の病因的意義を, 1)補体を結合するか. 2)補体と競合するか. 3)病変組織に認められるか.の3点から,著者の実験を基にして検討した.最後に,自己免疫病からimmune complex病へと移り変る免疫病にみられる,最近の概念の変化に言及した.
- 社団法人 日本内科学会の論文
著者
関連論文
- 177 家族性大腸癌の臨床的考察(第17回日本消化器外科学会総会)
- モルモット静注簡易法
- 143. 抗原抗体反応の血液凝固におよぼす影響について(抗原抗体反応)
- 9. 抗補体性G-ミ***ーマ血清とリウマトイド因子との反応について(免疫血清化(II))
- 腎炎患者にみられた血中および尿中の抗組織抗体
- (111) Thrombelastography による抗原体反応時の凝血学的研究(免疫学的手技)
- 血小板膜抗原に関する研究 : 特にβ_2-microglobulinについて
- 血小板膜抗原に関する研究 : ウサギ抗 Daudi 細胞血清とヒト血小板との反応
- 自己抗体とその病因的意義
- D-Penicillamineによる薬剤アレルギー性肝障害の1例
- 薬剤性肝障害を発症し興味ある血清学的変動を示した早期の原発性胆汁性肝硬変症例
- 肝疾患患者血清中のimmune complexについて
- 肝疾患の抗補体活性に関する研究(続報) : 骨髄腫,SLEの抗補体活性との比較
- 肝疾患の抗補体活性に関する研究
- 血中自己抗体,その他の血清学的検査成績が,副腎皮質ステロイド剤治療に対して異った経過を示したLupoid肝炎の2症例について
- 肝疾患の血清補体に関する研究 : 特に補体蛋白成分,血清血漿補体価解離現象について
- 平田村肝炎に関する血清疫学的研究 : 低補体活性例の肝組織像
- 高直接ビリルビン血症を伴ったICG排泄異常症の1例
- Passive hemagglutination test for rabbit antibodies to cationized rabbit IgG.
- STUDIES ON CORRELATION BETWEEN TUMOR CARCINOEMBRYONIC ANTIGEN (CEA):CONTENT AND PLASMA CEA LEVEL IN PATIENTS WITH CANCER OF THE STOMACH AND COLON