肝疾患患者血清中のimmune complexについて

概要

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各種肝疾患々者血清中のimmune complex (IC)を,Clq-solid phase radioimmunoassay法を用いて測定した.肝疾患73例中,2.0μg/ml以上のIC量を認めた例は17例,23.3%であり,疾患別では肝硬変症27例中7例25.9%,慢性肝炎24例中6例25.0%,急性肝炎22例中4例18.2%であった.肝疾患のIC量は,1例の肝硬変症で12.0μg/mlを示した以外は全例10.0μg/ml以下であり,同時に測定したSLEのIC量の1/10程度であった.IC陽性群の平均補体価20.7 CH50,平均Clq値46.0μg/mlは,陰性群の25.2 CH50, 51.8μg/mlより低下していたが有意差はなく,又,IC陽性群の補体価は,ACAと負の相関(r=-0.588)を示したが,Clqとは何ら関連性を示さなかった.IC陽性17例中,10.0 CH50以下の低補体価例は5例,ACA陽性例は6例,HBs抗原陽性例は5例であったが,特異な臨床経過,腎炎,血管炎などの合併症をみたものはなかった.
社団法人日本肝臓学会の論文