薬剤性肝障害を発症し興味ある血清学的変動を示した早期の原発性胆汁性肝硬変症例
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概要
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明らかな臨床症状を欠くが,赤沈亢進,Transaminaseの軽度上昇,AI-pの高値,RA testの陽性を指摘された女性が,サルファ剤の服用後,発熱,掻痒感,黄疸を伴なう薬剤性肝障害を発症した.長期のSteroid療法によって,黄疸の消失,γ-globulinの低下,RAの陰性化がみられたが,Al-p,γ-GTPは終始著明な高値を持続した.当科入院時,抗ミトコンドリア抗体(AMA)は弱陽性であったが,免疫グロブリン量は正常域にあり,針生検では急性肝内胆汁うっ滞症と診断された.しかし,Steroid剤服用中止後,RA testは陽性化し,γ-globulin, IgMの増加,AMA力価の上昇が著明となり,2年後の外科的切除肝標本で原発性胆汁性肝硬変症と診断された.以上の経過から,本症例は,Presymptomaticの状態にあって薬剤性肝障害を発症し,Steroid剤によって原発性胆汁性肝硬変症特有の血清学的性状に変化がもたらされたものと解釈された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
-
吉田 浩
福島県立医科大学 第2内科
-
森藤 隆夫
塙厚生病院内科
-
森藤 隆夫
福島県立医科大学 内科学第二講座
-
林 輝昭
福島厚生会病院
-
粕川 礼司
福島県立医大第2内科:ニューヨーク州立バッファロー大学細菌免疫学教室
-
渡辺 進
福島県立医科大学第2内科
-
飯塚 伸美
福島県立医科大学第2内科
-
粕川 礼司
福島県立医大第2内科
-
森藤 隆夫
福島県立医大第2内科
-
吉田 浩
福島県立医大第2内科
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