肝硬変を伴ったErythropoietic protoporphyriaの1症例
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概要
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症例は16歳男性,3歳頃より日光皮膚炎の既往あり,黄疸と肝腫大を伴い入院.入院時,小球性低色素性貧血と軽度の肝機能障害及び赤血球,糞便中のプロトポルフィリンの著明な上昇を認め,骨髄性プロトポルフィリン症と診断した.腹腔鏡検査では暗緑色の腫大した肝を認めた.肝生検像では狭い線維性間質と小型偽小葉からなる肝硬変の像を呈し,偽小葉周辺の小葉間細胆管,小葉内胆毛細管,Kupffer星細胞,肝細胞に胆栓とは異なる赤褐色の色素沈着を認めた.この色素を電顕的に検索すると,針状毛髪様結晶を呈し,プロトポルフィリンと同一物質と考えられた.症例は4年の経過後肝不全で死亡したが,増悪期に赤芽球δ-アミノレブリン酸合成酵素活性の増加を認めた.以上の結果から,本症のプロトポルフィリン代謝異常は,骨髄のみならず肝においても存在すると推測された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
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井戸 健一
自治医科大学消化器内科
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木村 健
自治医科大学消化器内科
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吉田 行雄
自治医科大学さいたま医療センター消化器内科
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吉田 行雄
自治医科大学 消化器内科
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山中 桓夫
自治医科大学消化器内科
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松本 三郎
自治医科大学病院病理
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酒井 秀朗
自治医科大学消化器内科
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堀口 正彦
自治医科大学消化器内科
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酒井 秀朗
自治医科大学消化器・消化器内科
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井戸 健一
自治医科大学 消化器内科
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田中 昌宏
自治医科大学 消化器外科
-
山中 桓夫
自治医科大学附属大宮医療センター総合医学第1講座
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野上 和加博
自治医科大学消化器内科
-
古杉 譲
自治医科大学消化器内科
-
関 秀一
自治医科大学消化器内科
-
松本 三郎
自治医科大学病理
-
田中 昌宏
自治医科大学消化器内科
-
山中 桓夫
自治医科大学 消化器内科
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