原発性胆汁性肝硬変症,シェーグレン症候群, CRST症候群が合併し,胃癌切除が行われた1例
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概要
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73歳の女性.昭和54年ころに高熱と多発関節痛があり,その1年後から両膝関節に変形がある.昭和56年から手先に冷感があり,昭和63年から口腔乾燥感および眼乾燥感がみられ,平成元年レイノー現象出現し入院.左右の口腔粘膜頬部に毛細血管拡張があり,舌小帯は軽度に短縮し,両手指にレイノー現象と皮膚硬化を認めた.膝関節X線像にて,皮下軟部組織に石灰化像を認めた.抗セントロメア抗体陽性からCRST症候群と診断された.乾燥性角結膜炎を認め,ローズベンガルテスト陽性,シャーマーテスト陽性,ガムテスト陽性からシェーグレン症候群の合併と考えられた.さらに,上部消化管検査で小弯前庭部にIIC型早期胃癌が診断され,また,胆道系酵素の上昇,高IgM血症,抗ミトコンドリア抗体陽性からPBCが強く示唆された.胃亜全摘を行い,切除胃の病理組織像はIIc型早期胃癌,中分化型腺癌,深達度smであり,このときに採取された肝の組織像はグリソン鞘にリンパ球浸潤, epithelioid cellの集団, granulomaの形成を認め, PBCでScheuerのStage Iと診断された.腫瘍摘出後に好酸球増多は正常化し,抗ミトコンドリア抗体,抗DNA抗体, IgM, IgA, IgG共に低下が認められた. HLA検査ではDR 4とDR 9がみられ,この症例の症状発現の要因の1つと推定された.本症例は,シェーグレン症候群, CRST症候群,無症候性原発性胆汁性肝硬変症と早期胃癌の合併例で,これら4疾患は,シェーグレン症候群に認められる広い免疫異常に関連していることが推察された.
著者
-
西間木 友衛
福島県立医科大学
-
菊田 豊
公立刈田綜合病院内科
-
粕川 禮司
福島県立医科大学 内科学第二講座
-
大浪 更三
公立刈田綜合病院
-
森藤 隆夫
福島県立医大第2内科
-
吉田 浩
福島県立医大第2内科
-
鵜飼 克明
山形大学第2内科
-
吉田 晶子
公立刈田綜合病院眼科
-
中川 八重
公立刈田綜合病院皮膚科
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