ウサギ脳波におよぼすニューキノロン抗菌薬と非ステロイド系抗炎症薬併用の効果
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概要
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非ステロイド系抗炎症薬のfenbufenとニュ―キノロン抗菌薬の併用はしばしば中枢興奮作用を示し,さらに痙攣発作を起こす危険があることが知られている.これらの事実を6種のニューキノロン抗菌薬〔enoxacin,norfloxacin,onoxacin,cipronoxacin,lomenoxacin,tosunoxacill〕を用いてウサギ皮質および皮質下脳波を指標として検討した.fenbufen50〜200mg/kgの単独経口投与は高振幅徐波化を示した.脳波に影響を与えないtosufloxacinを除く他の5種のニューキノロン抗菌薬(100〜200mg/kg)の単独経ロ投与は高振幅徐波傾向を示した―fenbllfen50mg/kg経口投与30分後にニューキノロン抗菌薬(100〜200mg/kg)を経口投与することにより,脳波には棘波が出現し,時間経過と共に高頻度棘波になり,さらにてんかん様発作波へと移行した.ただし,tosufloxacinとfenbufenは併用しても本実験使用量の範囲において脳波上,行動上何らの異常も見られなかった.fenbufenとニューキノロンの併用により生じた棘波やてんかん様発作波および行動上の痙攣はdiazepamの静脈内投与によってもー時的な抑制しか見ることができなかった.以上の結果より,非ステロイド系抗炎症薬のfenbufenとニューキノロン抗菌薬との併用に際して,本実験に用いた6種のニューキノロン抗菌薬のうち5種において脳波上また行動上にて中枢興奮作用,痙攣を生じることを確認した.この変化は単にGABA受容体への結合阻害のみでは説明できず,中枢神経系における幾つかの興奮機構が複雑に関与して生じたものと思われる.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
-
鈴木 俊雄
千葉大学医学部薬理学
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村山 智
千葉大学医学部薬理学
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原 幸男
千葉大学医学部薬理学
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玉川 正次
千葉大学医学部薬理学
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村山 智
千大・薬理
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柿崎 一志
千葉大学医学部薬理学教室
-
Murayama Satoshi
Department Of Pharmacology School Of Medicine Chiba University
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原 幸男
千葉大学医学部薬理学教室
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