脊髄反射活動電位に及ぼす解熱鎮痛薬の効果 ―ことにアミノピリンの興奮作用―
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概要
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解熱鎮痛薬アミノピリンの示す中枢興奮作用の基盤を,脊髄ネコ標本の脊髄反射活動電位について検討し,他の2,3の解熱鎮痛薬の作用と比較した.1)アミノピリン25〜100mg/kg,i.v.で用量依存的に単及び多シナプス反射活動電位(MSR及びPSR)は増大し,後根反射活動電位(DRR)は減少した.2)ジアゼパム0.2mg/kg,i.v.はアミノピリンで減少したDRRを回復させたが,増大したMSR及びPSRには影響しなかった.3)セミカルバジド200mg/kg,i.v.前処置によりDRRを消失させた状態でもアミノピリンはMSRを増大させた.4)アミノピリンで増大したMSR,PSRはメチセルジド1mg/kg,i.v.で減少した.5)5-ヒドロキシトリプトファン50mg/kg,i.v.を前処置するとアミノピリンによるMSRの増大は一層著明になった.6)アミノピリン以外のピラゾロン誘導体ではイソプロピルアンチピリン50mg/kg,i.v.にアミノピリンと同様MSR及びPSRの増大が認められた.しかし,スルピリン500mg/kg,i.v.,アンチピリン50mg/kg,i.v.,及び4-アミノアンチピリン50mg/kg,i.v.ではMSR,PSRの増大は認められなかった.7)基本骨格を異にする解熱鎮痛薬のうちアセトアミノフェン50mg/kg,i.v.やインドメタシン10mg/kg,i.v.でもMSR,PSRの増大は認められなかった.以上のことから,アミノピリンの示す脊髄反射興奮作用の一部に5-ヒドロキシトリプタミンの関与がうかがえるが,GABA作動性機構との関連性は薄いものと考えられる.また,解熱鎮痛薬の示す中枢興奮作用にはピラゾロン骨格と共に,その4位にN-ジメチルまたはイソプロピル基の存在が重要であると考えられる.
著者
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村山 智
千葉大学医学部薬理学
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原 幸男
千葉大学医学部薬理学
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村山 智
千大・薬理
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Murayama Satoshi
Department Of Pharmacology School Of Medicine Chiba University
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