新しいヒスタミンH<SUB>2</SUB>-受容体拮抗薬,IGN-2098,のラットの胃液分泌および実験胃・十二指腸損傷に対する効果
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概要
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新しい化合物IGN-2098[5,6-dimetllyl-2-{4-<3-(1-piperidillometllyl)pllenoxy>cis-butenylamino}-4-(1H)-pyrimidone-2HCl]のヒスタミンH<SUB>2</SUB>-受容体拮抗作用,胃液分泌および胃・十二指腸損傷(潰瘍)の発生に対する作用を検討した.対照薬としては,ヒスタミンH<SUB>2</SUB>-受容体拮抗薬,ロキサチジンを使用した.IGN-2098は,モルモット心房標本において,ヒスタミンと競合的に拮抗した.IGN-2098およびロキサチジンのpA2値は,各7.32および6.48であり,IGN-2098のヒスタミンH<SUB>2</SUB>-受容体拮抗作用は,ロキサチジンの約7倍であった.IGN-2098(0.1〜10mg/kg)をラットに経口的または非経口的(皮下,十二指腸または腹腔内)に投与した結果,幽門結紮法での基礎分泌,急性フィストラ法でのヒスタミン,カルバコール,ペンタガストリン刺激酸分泌は,用量依存的に,また有意に抑制された.IGN-2098(>30mg/kg)の1回経ロ投与後の胃液分泌抑制作用は,12時間以上持続した.IGN-2098の胃液分泌抑制作用をED50値(50%抑制用量)で比較すると,基礎分泌の場合は,ロキサチジンの効力とほぼ同等かまたは約2倍程度であった.刺激分泌の場合,特にペンタガストリン刺激に対しては,ロキサチジンの効力より約80倍強力であった.急性胃損傷モデルである幽門結紮潰瘍,水浸ストレス損傷,ヒスタミン損傷,インドメタシン損傷,塩酸・アスピリン損傷および塩酸・エタノール損傷の発生に対して,IGN-2098(3〜60mg/kg)の経口投与は,ほぼ用量依存的な抑制作用を示した.IGN-2098のインドメタシンおよび塩酸・アスピリン損傷に対する抑制作用は,ED50値においてロキサチジンより約2〜8倍強力であった.メピリゾール十二指腸漬瘍に対してもIGN-2098は,著明な抑制作用を示し,その作用をED50値で比較すると,ロキサチジンより約15倍強力であった.以上より,IGN-2098は,ラットの胃液分泌および急性胃・十二指腸損傷の発生を強力に抑制する薬物であることが判明した.
著者
-
岡部 進
京都薬科大学
-
成田 充弘
京都薬科大学 応用薬理
-
河野 修
グレラン製薬
-
三崎 則幸
グレラン製薬 研
-
中路 茂
京都薬科大学応用薬理学教室
-
瀧浪 祐介
京都薬科大学応用薬理学教室
-
河野 修
グレラン製薬(株)研究所
-
三崎 則幸
グレラン製薬(株)研究所
-
成田 充弘
京都薬科大学応用薬理学教室
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