新しい Histamine H<SUB>2</SUB>-受容体拮抗薬,Ranitidine の実験的急性胃・十二指腸潰瘍に対する効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新しい histamine H<SUB>2</SUB>-受容体拮抗薬,ranitidine は100〜200mg/kg(i.d. または p.o.)の用量でラットの Shay 潰瘍,indomethacin 胃潰蕩,phenylbutazone 胃潰瘍,histamine-carbachol 十二指腸潰瘍およびモルモットの histamine 胃潰瘍の発生に対し著明な抑制効果を示した.ラットの水浸 stress 胃潰瘍,モルモットの histamine 十二指腸潰瘍に対しても有意の抑制は認められたが,抑制率は70%以下であった.cimetidine もラットの水浸 stress 胃潰瘍,indomethacin 胃潰瘍,phenylbutazone 胃潰瘍,モルモットの胃および十二指腸潰瘍の発生に対し,有意な抑制効果を示した、しかし Shay 潰瘍,histamine-carbachol 十二指腸潰瘍に対しては有意な抑制効果を認めなかった.histamine 投与モルモットの胃酸分泌に対してranitidine および cimetidine は抑制的に作用した,ラットの幽門結紮法による酸排出量に対しても ranitidine および cimctidine の100mg/kg(i.d.)はおのおの 79.6% および 50.7% 抑制した.しかし両薬物ともに胃液量,pcpsin 排出量に対しての効果は弱かった.ranitidine および cimetidine の抗潰瘍効果は主として胃酸排出量の抑制に基くと考えられる.但し,ranitidine は Shay 潰瘍は抑制したが,胃酸分泌は殆んど抑制していないことから,他の機序の関与も推定された.機序はともかく,ranitidine は cimetidine と同様に消化性潰瘍の治療薬として有用性が期待される.対照薬として使用した gefarnate は,phenylbutazone 胃潰瘍の発生に対しては 300mg/kg の用量で46.5%の有意の抑制をしたが,それ以外の潰瘍モデルに対しては,ほとんど効果は認められなかった.以上の結果から見て,諸種の実験潰瘍モデルにおける抗潰瘍作用の強さは,ranitidine≥cimetidine>gefarnate の順であった.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
関連論文
- 消化性潰瘍の治癒機構および治療薬の開発に対する考察1)酢酸潰瘍モデルの考案と薬効評価を中心にして
- 新規胃酸分泌抑制薬の標的部位 : 壁細胞の頂端膜からミオシン・アクチン系への抑制
- ムスカリンM1およびM3受容体遺伝子欠損マウスの胃酸分泌
- 直径2ミリの胃潰瘍から仮説の提案まで : セレンディピティーと擬セレンディピティー物語
- 胃血管結紮したラットにおけるヒスタミン誘起胃損傷の発生機序
- スナネズミにおける Helicobacter pylori 感染に対する片側迷走神経切除の影響
- アンモニア誘起胃粘膜上皮傷害に対するグルタミンの保護作用 : アンモニア代謝経路の活性化
- mTOR阻害薬を用いた癌治療
- 胃粘膜損傷の発生における内因性エンドセリン -1 の役割
- レプチンのラット胃酢酸潰瘍の治癒に及ぼす影響
- H_2受容体遺伝子欠損マウスにおける胃粘膜肥厚に対する薬物の効果
- 非ステロイド性抗炎症薬 NSAIDs の食道癌に対する効果
- 胃血管結紮モデルにおける各種薬物の効果
- ヒスタミン潰瘍の発生機序におけるラット胃血管平滑筋の役割(シンポジウム1:平滑筋の受容体と創薬)
- 酢酸潰瘍-あるセレンディピティ物語
- 各種遺伝子改変マウスを用いた胃酸分泌および胃粘膜細胞の恒常性の解明
- HDC遺伝子ノックアウトマウスの機能解析
- 急性および慢性胃潰瘍の発生と治癒に及ぼす胃粘膜虚血の影響
- 消化性潰瘍の新しい治療法・遺伝子治療
- オーファン・ドラッグとしてのサリドマイドの復活
- Aloe抽出成分Aloctin Aのラットの胃液分泌及び各種実験胃損傷に対する効果
- Helicobacter pylori菌感染砂ネズミにおける胃粘膜病変に対する薬理学的研究
- HP感染砂ネズミにおける胃癌発生と除菌の影響
- H. pylori 感染砂ネズミにおけるインドメタシン処置による潰瘍の発生
- 砂ネズミへの免疫抑制剤投与がH. pylori 感染ならびにその病変に及ぼす影響
- 新「日本の薬学」考 : 三輪車で走ろう「日本の薬学」!
- 酢酸胃潰瘍の治癒における熱ショックタンパク質(HSP_s)の役割
- 胃動脈結紮ラットにおけるヒスタミン誘起胃損傷モデル
- 消化性潰瘍と細胞外基質代謝
- H. pylori によるIL-8産生過程におけるp38 MAPキナーゼの関与
- 砂ネズミにおける酢酸潰瘍の治癒と再発に対する Helicobacter pylori 感染の影響
- ラット塩酸エタノール損傷の治癒におけるシクロオキシゲナーゼ-2の役割
- 内因性インターロイキン-1の胃潰瘍の治癒における役割
- Helicobacter pylori (Hp) 胃炎におけるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の役割
- 仮説 「壁細胞」の起源 (2)
- 仮説「壁細胞」の起源(1)
- キトサンカプセルを用いた潰瘍性大腸炎治療薬の大腸特異的送達法の開発
- 齧歯類のHelicobacter pylori感染モデルとその有用性
- IkBキナーゼ:サイトカインによるNF-kB活性化機構
- 胃潰瘍の治癒とCOX-2選択性阻害薬
- 細胞増殖因子の粘膜再構築および細胞保護作用
- Gefarnateのラットの各種実験的急性胃粘膜損傷に対する効果
- GLPについて(GLPと大学の研究)
- 抗潰瘍薬の研究
- Ranitidine,Histamine H2-受容体拮抗薬,のイヌおよびラットにおけるHistamineおよびAspirin胃潰瘍に対する効果
- Ranitidine,Histamine H2-受容体拮抗薬,のイヌの胃液分泌に対する効果
- 新しいHistamine H2-受容体拮抗薬,Ranitidineの実験的急性胃・十二指腸潰瘍に対する効果
- 新しい消化性潰瘍治療薬 : ピレンゼピン, アスパロン, セトラキサート
- 新しい非ステロイド系抗炎症薬4-(p-Chlorophenyl)-2-phenyl-5-thiazoleacetic acid(CH-800)のラット胃腸管に対する刺激作用について
- 酢酸潰瘍-この40年
- 中世シチリア王国の2法典
- 医/薬分業の向こう側(2)
- アマルフィの薬局
- マインツ大聖堂の獅子
- 12世紀のシチリア風景
- 「双頭の鷲」の王子誕生
- 皇帝フリードリヒ・バルバロッサ
- ベニスの薬剤師
- まとめ ベンツ vs. キャデラック
- 個室を持つ臨床薬剤師
- 「黒革の椅子」のある部屋
- 胃酸分泌の細胞生物学-創薬に向かって
- 新規化合物Z-103の抗潰瘍作用に関する研究
- 新しい Histamine H2-受容体拮抗薬,Nizatidine,のラットの胃液分泌および実験胃・十二指腸損傷に対する効果
- Prostaglandin E1誘導体Misoprostol, (±)-methyl(11α, 13E)-11, 16-dihydroxy-16-methyl-9-oxoprost-13-en-1-oate,のラットの各種胃および十二指腸損傷に対する効果
- 健胃生薬複合末のラットの胃液分泌および各種急性胃・十二指腸損傷に対する効果
- Gefarnateのラットの各種実験的急性胃粘膜損傷に対する効果
- アラビアから黒船
- 第25回 北欧の薬局を訪ねて(2)
- Ranitidine, Histamine H2-受容体拮抗薬,のイヌおよびラットにおけるHistamineおよびAspirin胃潰瘍に対する効果
- Ranitidine, Histamine H2-受容体拮抗薬,のイヌの胃液分泌に対する効果
- 新しい Histamine H2-受容体拮抗薬,Ranitidine の実験的急性胃・十二指腸潰瘍に対する効果
- 新しい非ステロイド系抗炎症薬4-(p-Chlorophenyl)-2-phenyl-5-thiazoleacetic acid(CH-800)のラット胃腸管に対する刺激作用について
- 北欧の薬局を訪ねて(3)
- オイチニイの薬売り(2)
- サレルノの奇跡
- オイチニイの薬売り(1)
- 第27回 フリードリヒ2世, 試験問題に登場
- 第24回 北欧の薬局を訪ねて(1)
- 医/薬分業の向こう側(1)
- Helicobacter pyloriとその感染実験動物モデル
- 新しいヒスタミンH2-受容体拮抗薬,IGN-2098,のラットの胃液分泌および実験胃・十二指腸損傷に対する効果
- 実験的慢性胃潰瘍に対するAzuletil sodium(KT1-32)の治癒促進効果及びSPF施設での実施による治癒の促進について
- 胃酸分泌抑制薬の現状と新しい展開--貝殻から貝殻様薬物まで (創薬における薬理学の役割)
- 胃潰瘍病態モデルと薬物療法 (胃-2-)
- 新しいHistamine H2-受容体拮抗薬,IT-066,のラットおよびイヌの胃液分泌および酢酸潰瘍に対する効果
- プロトンポンプ阻害薬の胃液分泌および消化性潰瘍に対する効果
- Azulene誘導体,KT1-32,のラットの各種胃・十二指腸損傷に対する効果
- 新しいHistamine H2-受容体拮抗薬,Ranitidineのラットの胃液分泌に対する効果
- 薬効をめぐる種差と系統差--実験漬瘍と抗漬瘍薬を中心に
- 抗炎症薬Betamethasone17-velerate,Beclomethasone17,21-dipropionate,Betamethasone 17,21-dipropionate,Indomethacinのラットおよびイヌの胃腸管に対する刺激作用について
- 合成ウナギCalcitonin(Elcatonin)のラットにおける各種胃・十二指腸損傷ならびに胃・十二指腸機能に及ぼす効果