直径2ミリの胃潰瘍から仮説の提案まで : セレンディピティーと擬セレンディピティー物語
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概要
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1. プロローグ アナフィラキシー現象の発見者であるシャルル, リシュー(1850-1935)のノーベル賞受賞講演の中に, 「今から私の研究のことをお話ししますが, 私の発見は深淵な思考の結果ではなく, まさに幸運としか言いようのない単純明瞭な事実の観察からです. 敢えて私にいい所があったとすれば, それは, 私の目の前にある事実を(目を開けて)しっかり見たというだけです」という一節がある. 現代は「ナノの時代」になっていると言うが, 一世代前の研究者として, 今回は, 「ミリの時代」の話をする. もっとも, 顕微鏡や電子顕微鏡も使用しているので, ミクロンの単位までは降りているが, 出発点はミリの単位であった. 筆者は, 昭和37年, 東大薬学部の大学院に入学し, 薬品作用学を主宰される高木敬次郎教授から「消化性潰瘍治療薬の薬理学的研究」というテーマを頂いた. 熊大薬学部の学生時代は, 加瀬佳年教授の下で「鎮咳薬の薬理学」を勉強していたので, 潰瘍という分野は全く未知で, まずulcerという英語名も知らなかった.
- 社団法人日本薬学会の論文
- 2005-01-01
著者
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