牛乳脂質の特性に関する研究 : I. 牛乳脂質の沃素価,けん化価,融点および色調
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概要
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全国22地区の牛乳脂質試料526点の脂肪特数および色調を測定し次の結果を得た.沃素価の平均値と標準偏差はそれぞれ34.80と3.58,けん化価についてはそれぞれ228.52と2.82であり,両者は相関係数-0.905の強い相関がある.沃素価とけん化価の年間平均値と季節変動の型によって22の試料採取地区を6地域に分類した。北海道地域においては,夏季に沃素価が上昇しけん化価が低下し,冬季はその逆となる季節的変動がきわめて明瞭に現われるが,地域が南になるほど季節変動の幅が小さくなる傾向がある.大都市の近郊地域および大都市の専業牧場の牛乳脂質は,年間を通じて沃素緬がきわめて高く,けん化価がきわめて低い異常値を示した.上昇融点は,平均31.92°C,標準偏差は0.69°Cであった.北海道と東日本においては上昇融点は沃素価と負の相関があるが,西日本では逆に正の相関が認められた.この点は従来の定説と異なった結果である.色調の主波長は平均574.7nmで変動はきわめて小さいが,色純度は地域•季節によって大きく変動し,その平均値と季節変動の型によって全国を6地域に分類した(沃素価•けん化価による分類とは必ずしも一致しない).北海道では季節的変動がきわめて大きいが,西日本では変動幅が小さく年間を通じて高い値を示した.大都市近郊ないし専業牧場では常に異常な低値を示した.カロチン含量は色純度から二次回帰式によって換算でき,その平均は370μg%,標準編差は136μg%であった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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