牛乳脂質の特性に関する研究 : III. 牛乳脂質の脂肪酸組成
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概要
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全国22地区の1年間の牛乳脂質試料526点につき,ブチルエステルの昇温ガスクロマトグラフィーによって脂肪酸組成を測定した.最も量の多い成分はC16の平均25.7%,次いでC18:1の平均24.3%であった.C6/C8:1比によって脂肪酸組成の地域的季節的変動を代表させることができ,その変動はけん化価の変動と類似し,沃素価の変動と逆の傾向を示した.その平均は1.1であり,北海道においては季節的変動が明瞭で,夏季は1以下になり,冬季は1.3以上になるが,南の地域になる程季節変動の幅が小さくなる傾向が認められた.また,大都市専業牧場の試料においては,年間を通じて異常に低い値を示し,季節的変動は不明瞭であった.C4は平均3.63%で,大都市専業型ではやや低い値を示したが,その他の地域の間には有意な差がなく,季節的変動も一定の傾向が認められなかった.脂肪酸組成から理論的に特数を計算すると,けん化価については実測値とよく一致したが,沃素価は実測値より1.16だけ低かった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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