加熱による牛乳の物理的および化学的性質の変化
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概要
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牛乳を60〜120°Cに各10分間加熱し,その場合に起こる種々の理化学的変化について研究した.またその変化の意義を,蛋白質の消化性と関連させて考えた.1. 脱脂乳を加熱すると,超遠心分離非沈降性窒素量は,90°Cまでは減少するが,100°C以上では増加に転ずる濃縮状態で加熱すると,減少度はさらに低く,100°C以上での増加度はさらに大きい.2. ホエーを加熱すると,超遠心分離非沈降性窒素量および非カゼイン態窒素量は,非濃縮状態のときは70°C以上で,濃縮状態のときは90°C以上で減少し,両窒素量の変化の曲線は,ほとんど一致する.3. 脱脂乳を加熱すると,非カゼイン態窒素は,ホエーの場合と同様の傾向で減少していくが,濃縮乳加熱の場合は,100°C以上で,かずかではあるが,ふたたび増加する傾向がある.4. 超遠心分離を行なつて得た上澄液では,カルシウムおよび燐量は,加熱温度の上昇に従い,徐々にわずかながら減少する.5. SH基出現量は,脱脂乳では100°Cで,濃縮脱脂乳では90°Cで,最高である.非濃縮状態よりも,濃縮状態で加熱した場合のほうが,はるかに出現量が少ない.6. 〓過性窒素量は,濃縮状態で加熱した場合に,著しく減少する。7. 牛乳を加熱すると,蛋白質の人工消化率,とくにパンクレアチンによる分解が,急激に増加する.濃縮状態で加熱した場合,とくにこの増加度が大きい.
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