デキストラン鉄の経口投与による子豚の貧血予防について
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概要
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子豚の鉄欠乏性貧血は,通常デキストラン鉄の筋肉内注射によって予防あるいは治療されている.本研究は,新生豚の腸管でみられるピノサイトーシスによる取り込みを考慮して,デキストラン鉄を出生直後に経口投与し,貧血に対する予防効果を検討した.デキストラン鉄1ml(鉄として100mg)を出生後3〜8時間の間に経口投与すると,ヘモグロビン量およびヘマトクリットは無処置区に比べ有意に増加し,4週齢まで十分量を維持した.赤血球数の増加もデキストラン鉄投与区で著しく,無処置区との間にみられた赤血球平均恒数の差異は,無処置区の貧血子豚の赤血球像が小球性•低色素性であることを示した.デキストラン鉄の投与時間を24〜36時間まで遅らせても同様の結果を得たが,72時間以降になるとヘモグロビン量やヘマトクリットに及ぼす効果は一過性で持続性に乏しく,出生直後に投与した場合に比べ明らかに劣った.以上の結果は,デキストラン鉄を新生豚の経口鉄剤として利用することが可能であることを示した.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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