二番茶芽の生育に及ぼす越冬葉の影響
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概要
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二番茶芽の生育に対する越冬葉量の影響を調べる目的で,一年生苗と成木の一番茶期葉を1〜3枚残し,越冬葉を全量摘除する区,半量摘除する区および無処理区の3種類に分けて,その後の乾物重とTAC量の変化を追跡した。<BR>やぶきた1年生苗の場合には一心三葉期(4月18日)に摘心した後に,越冬葉の摘除処理を行った。成木の場合には5月11日に一番茶期葉が1枚程度残るように機械摘みし,翌日に越冬葉の摘除処理を行った。<BR>1年生苗の場合,越冬葉を除いた全乾物重は無処理区で最も大きく増加し,全量摘除区で最も劣った。この差異は新芽(一番茶期葉と二番茶新芽)と枝で明確にみられた。<BR>成木の場合の新芽乾物重(20cm×20cm枠摘み)と百芽重は,無処理区>半量摘除区>全量摘除区の順に大きかった。芽数には処理間差はみられなかった。<BR>1年生苗のTAC(mg)変化をみると,新芽と枝では経時的に増加し,その程度は無処理区で最も大きく,全量摘除区で最も劣った。母茎と根のTACは各処理区とも減少したが,全量摘除区が最も大きく低下していた。しかし,無処理区と半量摘除区では明確な差はみられなかった。<BR>以上の結果から,1年生苗,成木ともに越冬葉の多少により二番茶新芽の生育が左右されることが分かった。この原因について二,三の考察を行った。また,地下部TACの消費量は葉量の多少とは明確な関係を示さず,新芽生育に有効に利用されない場合のあることが示唆された。<BR>本論文の作製に当たり,貴重な助言を頂いた本試験場茶樹第1研究室室長 鳥屋尾忠之博士に感謝いたします。
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著者
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