チャ葉の光合成阻害における光と低温の相互作用
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チャ葉の光合成阻害における光と低温の相互作用について検討した. 他の葉で遮断されている越冬葉の光合成速度は遮蔽されていない葉よりも高く(第1表), 低温阻害に光強度が関係することが予想された. そこで, 葉ディスクまたは個葉を用いて明下(12klx), 12℃の低温処理を2日間行なうと, 光合成速度と光飽和のヒル反応活性はともに対照(20℃)の60%に低下した. そのとき, 光強度を25%遮光すると, これらの低下の程度は小さかった(第2図). また, ほ場で生育している茶樹を冬季間, 寒冷紗で遮光しても, 光合成速度は高い値で推移した(第4図). これらの結果から, チャ越冬葉の光合成低温阻害は光障害により起きることが示唆された. 以上の結果は人為的な遮光処理によりチャ越冬葉の光合成低温阻害を軽減できることを示唆している. 実際, 寒冷紗による遮光で越冬葉の光合成は遮光期間中も除去した後も高く保たれ, 一番茶の収量の増加も認められた(第5〜7図).
- 日本作物学会の論文
- 1986-12-05
著者
関連論文
- 日本作物学会賞受賞 講演要旨 チャの光合成, 特に越冬時における光合成活性の低下機構の解析
- 茶葉光合成の低温阻害に及ぼす生長調節剤の影響
- 新芽摘採による茶越冬葉のサイトカイニン様物質の変化
- 茶越冬葉の光合成低下の品種間差異と窒素施肥の影響
- チャ葉の光合成阻害における光と低温の相互作用
- チャ越冬葉の低温による光合成阻害部位
- 56 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第6報 ブラシノライドなどによる低温阻害の軽減
- せん技による茶樹細根の呼吸速度低下の季節的変動
- 121 チャ越冬葉の光合成低下に及ぼす窒素施肥の影響
- 固定化酵素膜一過酸化水素電極による茶樹の炭水化物と遊離アミノ酸の定量
- 62 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第5報 冬季被覆による新芽生育の向上
- 冬季の低温によるチャ越冬葉の光合成明反応の阻害
- 固定化酵素を用いた茶樹の炭水化物と遊離アミノ酸の定量
- 茶樹の冬季被覆による新芽生育の向上について : 遮光度の影響
- 30 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第4報 光合成の低温阻害の遮光、ホルモンによる軽減
- 29 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第3報 温度制御下での光合成の低温阻害
- 強せん枝および湛水処理によるチャの根の褐変壊死の発生
- 茶樹の冬季被覆による新芽生育の向上について : 被覆期間の影響
- 新芽摘除による茶越冬葉の光合成機能の変化
- 51 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第2報 フラクション-1タンパク質,ヒル反応速度の変化及び遮光の影響
- 茶葉の葉面方向に及ぼす高エネルギー青色光の影響
- 茶幼木の越冬葉と成熟葉の光合成機能に及ぼす新芽の影響
- 幼木および成木の台切り,断根処理による茶芽の生育,成分の差異
- 落葉の程度と茶葉の生理機能との関係
- 落葉の程度と葉柄の構造の関係
- チャの落葉時期およびその品種間差異
- 葉緑体DNA制限酵素切断パターンのチャ及び近縁種における差異
- 強せん枝による茶樹細根の呼吸活性の低下 : 立枯症との関連について
- 64 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第1報 品種間差異および全窒素,可溶性タンパク量との関係
- 越冬した茶葉の光合成に及ぼす新芽摘採の影響
- 茶葉からの細胞単離とその光合成特性
- 強せん枝および湛水処理によるチャの根の褐変壊死の発生
- あさつゆの自然突然変異体の生育と品質
- 仕立てられた成木茶樹の落葉時期およびその品種間差異
- 二番茶芽の生育に及ぼす越冬葉の影響