冬季の低温によるチャ越冬葉の光合成明反応の阻害
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
秋冬季におけるチャ越冬葉の光合成速度の季節的変化, とくに冬季の低温による光合成の低下の原因について検討した. 10月から翌春3月までの光合成速度の変化を測定したところ, 11月まで上昇し, 1l月下旬に最高気温20℃, 最低気温10℃となると, 光合成速度は低下を始めた. 1月から2月初旬にかけて最低気温が0℃以下のときに, 光合成速度は最低となった. 低下時には品種間差異はみられなかったが, 低下程度ははつもみじが NN27, ZI よりも大きかった. その後, 光合成速度ほ徐々に増加したが, その回復は部分的であり, 最高速度の40-60%であった. クロロフィル量も冬季に低下したが, その低下は最低気温が0℃以下になったときにみられ, 光合成速度の低下する時期とは異っていた. このことは葉色の変化では光合成の低温阻害を確める指標とはなり得ないことを示している. つぎに, 光合成の低温阻害機構を検討するために, はつもみじとやぶきたを用いて, 冬季における光合成明反応と暗反応の変化を測定した. 可溶性タジパク質とフラクション-1 タンパク質量の変化は光合成速度の変化とは対応ぜず, またリブロース1, 5-シリン酸カルボキンラーゼ活性によっても光合成速度の低下を説明できなかった. 一方, 光強度一光合成曲線の初期勾配及び光飽和下のヒル反応速度は光合成速度と対応して変化していた. 以上の結果から, チャ越冬葉における光合成の低温阻害は光合成暗反応よりも明反応の抑制によることが示された.
- 日本作物学会の論文
- 1984-12-05
著者
関連論文
- 日本作物学会賞受賞 講演要旨 チャの光合成, 特に越冬時における光合成活性の低下機構の解析
- 茶葉光合成の低温阻害に及ぼす生長調節剤の影響
- 新芽摘採による茶越冬葉のサイトカイニン様物質の変化
- 茶越冬葉の光合成低下の品種間差異と窒素施肥の影響
- チャ葉の光合成阻害における光と低温の相互作用
- チャ越冬葉の低温による光合成阻害部位
- 56 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第6報 ブラシノライドなどによる低温阻害の軽減
- せん技による茶樹細根の呼吸速度低下の季節的変動
- 121 チャ越冬葉の光合成低下に及ぼす窒素施肥の影響
- 固定化酵素膜一過酸化水素電極による茶樹の炭水化物と遊離アミノ酸の定量
- 62 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第5報 冬季被覆による新芽生育の向上
- 冬季の低温によるチャ越冬葉の光合成明反応の阻害
- 固定化酵素を用いた茶樹の炭水化物と遊離アミノ酸の定量
- 茶樹の冬季被覆による新芽生育の向上について : 遮光度の影響
- 30 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第4報 光合成の低温阻害の遮光、ホルモンによる軽減
- 29 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第3報 温度制御下での光合成の低温阻害
- 強せん枝および湛水処理によるチャの根の褐変壊死の発生
- 茶樹の冬季被覆による新芽生育の向上について : 被覆期間の影響
- 新芽摘除による茶越冬葉の光合成機能の変化
- 51 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第2報 フラクション-1タンパク質,ヒル反応速度の変化及び遮光の影響
- 茶葉の葉面方向に及ぼす高エネルギー青色光の影響
- 茶幼木の越冬葉と成熟葉の光合成機能に及ぼす新芽の影響
- 幼木および成木の台切り,断根処理による茶芽の生育,成分の差異
- 落葉の程度と茶葉の生理機能との関係
- 落葉の程度と葉柄の構造の関係
- チャの落葉時期およびその品種間差異
- 葉緑体DNA制限酵素切断パターンのチャ及び近縁種における差異
- 強せん枝による茶樹細根の呼吸活性の低下 : 立枯症との関連について
- 64 秋冬季における茶葉光合成機能の変化 : 第1報 品種間差異および全窒素,可溶性タンパク量との関係
- 越冬した茶葉の光合成に及ぼす新芽摘採の影響
- 茶葉からの細胞単離とその光合成特性
- 強せん枝および湛水処理によるチャの根の褐変壊死の発生
- あさつゆの自然突然変異体の生育と品質
- 仕立てられた成木茶樹の落葉時期およびその品種間差異
- 二番茶芽の生育に及ぼす越冬葉の影響