茶越冬葉の光合成低下の品種間差異と窒素施肥の影響
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概要
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新芽生育に伴なう越冬葉の光合成低下は品種により異なり, あさつゆ, やまとみどり, たまみどり, するがわせに比べてやぶきた, おくゆたか, ふじみどり, およびかなやみどりの光合成低下は小さかった(第1図). この品種間差異は異なる樹令の茶樹で3年間, 認められており (第1表), 光合成低下は遺伝的に支配されていると予想された. また, 後者の4品種は高い収量と生育を示す品種であり, 光合成の低下程度と収量, 生育との関連が考えられた. 硫安(28.4kg/10a) を萌芽前に施肥したところ(第2図), 越冬葉の光合成速度は一時的に無施肥の115〜125%に増加したが, 時期の経過に伴ない無施肥と同程度に低下した. また, 硫安を萌芽前と萌芽後に時期を変えて施肥すると(第3図), 萌芽前施肥では光合成速度, 可溶性タンパク質, フラクション-1タンパク質ともに無施肥の110〜120%に増加した. 一方, 萌芽後施肥では可溶性タンパク質の増加は5〜18%であったが, 光合成速度とフラクション-1タンパク質は6〜8%増加しただけであった. 以上の結果から, 窒素施肥は光合成速度を増加させるが, 老化を遅らせることはできないことがわかった.
- 日本作物学会の論文
- 1987-06-05
著者
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