イオン交換膜電気透析法による脱塩脱脂乳の熱安定性とアルコール安定性について
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概要
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既報1-4)においてイオン交換膜電気透析法による脱脂乳の脱塩法および脱塩脱脂乳の理化学的性状について報告した.本報においては,その脱塩脱脂乳の熱安定性とアルコール安定性について検討した.その結果を要約すると次の通りである.1) 比電気伝導度が初期の値の1/11および灰分含量が初期の値の1/4となるまで,たん白質の膜面への凝集付着,無機スケール発生などの現象を生ずることなく,脱脂乳を順調に脱塩することができた.2) 脱塩脱脂乳の120Cおよび130Cにおける熱安定性は,脱塩の進行にしたがい低下傾向にあるが,極小および極大点を有する特異な曲線を示した.3) 脱塩脱脂乳の熱安定性曲線はK, Clイオンの減少,Ca, P含量の減少およびpHの変化と密接な関係にあることが認められ,イオン交換膜電気透析法特有の塩類の減少が極大,極小点を有する熱安定性曲線をもたらしたものと考えられる.4) 脱塩により生じたpHの上昇,および塩類の減少にともない脱塩脱脂乳のアルコール安定性は増加し,熱安定性曲線の極大点,およびpHの頂点において最も高いアルコール安定性が認められた.そしてさらに脱塩が進行するにともないpHが低下し,アルコール安定性は急速に低下した.
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