血中中性脂肪
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概要
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血液中の中性脂肪(トリアシルグリセロール,TG)濃度を血中中性脂肪値といい,測定試料に血清あるいは血漿を用いた場合,それぞれ血清中性脂肪値あるいは血漿中性脂肪値と呼ぶ.単位はmg/dlで表示する.TGは非極性脂質で水に全く溶けないため,血中ではリポタンパク質の成分として存在している.リポタンパク質は血中の脂質輸送体として機能しており,粒径と密度の違いから,カイロミクロン(CM),超低密度リポタンパク質(VLDL),中間密度リポタンパク質(IDL),低密度リポタンパク質(LDL),高密度リポタンパク質(HDL)の5種に分類できる.いずれもTGを含有しているが,そのうち食事由来の脂質の運搬を受け持つCM,および肝臓で合成された内因性脂質の運搬体であるVLDLは,TGを主構成成分としている.食事によって摂取される脂質のほとんどはTGであり,主にCMとして血中に現れる(食餌性脂血症).したがって,食後にはTGの上昇がみられ,また最小のTG値を得るには少なくとも7〜8時間の絶食が必要なため,測定にあたっては採血時間に注意を払う必要がある.一般には,早朝空腹時採血としている.TGはリポタンパク質代謝動態の把握においてコレステロールと共に有用な指標であり,脂質代謝異常の検査としてファーストチョイスの一つでもある.血中中性脂肪の測定には酵素法である市販の臨床検査用測定キットが便利である.これは,リポタンパク質中のTGをリポタンパク質リパーゼによって加水分解し,生成するグリセロールにグリセロールキナーゼ,グリセロール3リン酸オキシダーゼを作用させ過酸化水素を生成せしめ,さらにペルオキシダーゼを介して定量的に色素を生じさす方法である.しかしながら,本法を血清や血漿以外の試料中TG測定に用いる場合は注意が必要である.すなわち,測定キットに含まれる様々な酵素に影響する成分が当該試料に存在していないことを確認する必要がある.日本動脈硬化学会では,動脈硬化性疾患の予防および治療の見地から,スクリーニングのための高脂血症(脂質異常症)診断基準を定めているが,TGに関しては空腹時の値が150mg/dl以上の場合を治療開始基準としている.なお,TGが高値を示すものには,家族性高リポタンパク血症,動脈硬化症,糖尿病,ネフローゼ症候群,甲状腺機能低下症,閉塞性黄疸がある.また低値を示すものには, βリポタンパク欠損症,甲状腺機能亢進症,肝硬変,吸収不良症候群がある.
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