インゲン属マメ由来α-アミラーゼインヒビターの構造と安定性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. シロハナマメα-アミラーゼインヒビター(SAI-2)は,MAI-2と酵素化学的性質及び物理化学的性質が類似しており,同一のサブユニット構造をとることから,MAI-2と同一の構造である可能性が示唆されている.そこで既に構造を決定しているMAI-2と比較しつつSAI-2の一次構造を検討した.(1)SAI-2は,αとβサブユニットに分離後N末端アミノ酸配列分析を行いその単一性を確認した.また,SAI-2,MAI-2それぞれのサブユニットについてアミノ酸分析を行ったところ,両AIのそれぞれ対応するサブユニットのアミノ酸組成は類似していた.(2)SAI-2とMAI-2のアミノ酸配列をペプチドマップ法にて比較したが,両AIのペプチドマップはα及びβサブユニットともに一致しなかった.しかしながら,αサブユニットではV8プロテアーゼ消化,βサブユニットではキモトリプシン消化後の各フラグメントについてN末端アミノ酸配列分析を行ったところ,両AIの全アミノ酸配列は一致した.(3)SAI-2とMAI-2の糖鎖組成は,両AIのアミノ酸配列が一致するにもかかわらず異なっていた.2. 70℃,pH 5.0における安定性をTAI, UAI, SAI-2, MAI-2の4種のAIについて検討したところ,アミノ酸配列が等しいSAI-2とMAI-2が同じ傾向を示し,同様の関係にあるTAIとUAIが同じ傾向を示した.しかし,一次構造の異なる二組のグループ間ではSAI-2,MAI-2グループの方がTAI, UAIグループより安定であった.従って熱安定性は,AI間における少数のアミノ酸置換により変動するものと考えられた.
- 社団法人 日本食品科学工学会の論文
- 2006-10-15
著者
-
田代 操
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科
-
澤田 小百合
武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科
-
田代 操
武庫川女子大学
-
弥永 由里
武庫川女子大学生活環境学部
-
田代 操
武庫川女子大学大学院生活環境学研究科 食物栄養学専攻:武庫川女子大学生活環境学部 食物栄養学科
関連論文
- 血中中性脂肪
- 食餌性トリプシンインヒビターはラットの血清中性脂肪を低下させる
- ウズラ卵白オボムコイドのラット脂質代謝に及ぼす影響
- トラマメα-アミラーゼインヒビターの消化酵素に対する安定性
- ウズラ卵白オボムコイドによるラット脂肪蓄積の抑制
- 蛋白質酵素分解物を含む市販食品中の遊離およびペプチド型ピログルタミン酸含量
- アワ種子からのシステインプロテイナーゼインヒビターの精製と性質
- コーンスターチより調製された難消化性デキストリン伎与がストレプトゾトシン糖尿病ラットの耐糖能に及ぼす影響
- 塩酸吸着コーンスターチの湿熱処理により調製した難消化性デキストリンのラットコレステロール代謝に及ぼす影響(B. 生活科学)
- 血中中性脂肪
- ウズラ卵白オボムコイドのラット脂質代謝に及ぼす影響
- トラマメとウズラマメ由来α-アミラーゼインヒビターの同一性
- インゲン属マメ由来α-アミラーゼインヒビターのサブユニットの単離
- トラマメとウズラマメのα-アミラーゼインヒビターの精製と性質
- 3K09-3 赤糠からの機能性素材製造技術の開発(醸造学・醸造工学・食品科学・食品工学,一般講演)
- 植物性食品に存在する抗糖尿病因子の開発と利用に関する研究 (学術研究助成による成果) -- (一般公募による学術研究助成)
- インゲン属マメ由来α-アミラーゼインヒビターの構造と安定性
- キントキマメおよびフクシロキントキマメからのα-アミラーゼインヒビターの性質とサブユニット構造
- インゲン層3種マメ由来α-アミラーゼインヒビターの精製と性質
- ダイフクマメα-アミラーゼインヒビターの糖鎖構造
- オテボウ由来α-アミラーゼインヒビターのサブユニットの単離
- トラ豆α-アミラ-ゼインヒビタ-に関する研究
- 卵白タンパク質の脂質代謝改善作用の一部はオボムコイドの存在による
- 水溶性食物繊維とアセトアミノフェンの相互作用