カフェテリア試験を用いた不織布のエゾシカ樹皮食害防除効果の評価
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概要
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大径の母樹をエゾシカ食害から守る物理的防除資材として,施工柔軟性に富む不織布に着目した。その防除効果を東京大学北海道演習林内においてカフェテリア試験を行って評価した。都合84 セットのうち,試験が成立したのは45 セットであった。そのうち2 例において,エゾシカが不織布の上から囓ろうとした形跡が認められたが,不織布は破られておらず,樹皮に軽微な傷が付くに留まった。この2 例を除く43 セットでは,不織布で包んだ試験体は囓られた形跡が全く認められなかった。一方,45 セット全てで,不織布で包まない試験体(コントロール)は全周を喰われていた。これらの結果から,不織布はエゾシカ食害に対して防除効果が期待できると言える。The establishment of a conservation system of forest genetic resources and their genetic diversity is one of the principal aims of the University Forests of The University of Tokyo. We focused on polypropylene spunbonded nonwoven fabric (PP nonwoven) as a physically protective material for protecting seed trees from bark-stripping by sika deer. Its plasticity and lightness makes it easy to install on large seed trees across large natural forests. Its effectiveness was evaluated in cafeteria tests at a local forest. The test was concluded when the logs without PP nonwoven wrappers were completely stripped of their bark by sika deer. In a total of 84 sets of test, in 45, although the logs without PP nonwoven wrapper were completely stripped of their bark, the wrapped logs were not. Only in two sets were the traces of nibbling by sika deer observed on wrapped logs. In the other 43 sets no such traces were found. These results indicate that PP nonwoven wrapping is effective for the protection against bark-stripping by sika deer.
著者
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鴨田 重裕
東京大学北海道演習林
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笠原 久臣
東京大学北海道演習林
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高橋 康夫
東京大学北海道演習林
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檜山 亮
北海道立林産試験場
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折橋 健
北海道立林産試験場
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小島 康夫
北海道大学大学院農学研究院
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寺沢 実
北海道大学農学部
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