再直交化付きブロック逆反復法による固有ベクトルの並列計算
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概要
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本論文では,並列計算機向けの実対称3重対角行列の固有ベクトル計算アルゴリズムとして再直交化付きブロック逆反復法を提案する.逆反復法による固有ベクトル計算における再直交化計算では,従来,ベクトル演算や行列-ベクトル乗算といった並列化粒度の比較的小さい演算を用いたアルゴリズムが中心であった.また,逆反復法の改良アルゴリズムとしてMultiple Relatively Robust Representation(MRRR)法が提案されているが,計算対象の行列の固有値分布によっては,固有ベクトルの直交性が失われてしまうことが知られている.本論文で提案する再直交化付きブロック逆反復法は,行列乗算中心の実装が可能な同時逆反復法を基にした,大粒度の並列性を持つアルゴリズムである.さらに,提案アルゴリズムにより,MRRR法で計算が破綻してしまうような固有ベクトルを行列乗算を用いて再計算することも可能になる.共有メモリマルチコアプロセッサシステム上での数値実験において,提案アルゴリズムにより,逆反復法や同時逆反復法と同等の計算精度が達成され,より高速な並列計算が実現されることを示す.
- 2014-08-19
著者
-
木村 欣司
京都大学大学院
-
中村 佳正
京都大学大学院情報学研究科
-
中村 佳正
京都大学大学院 情報学研究科 数理工学専攻:独立行政法人 科学技術振興機構
-
石上 裕之
京都大学大学院情報学研究科|日本学術振興会特別研究員(DC1)
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