エナメル質の横紋形成メカニズムの解明
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概要
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エナメル質の基本構造をなすエナメル小柱には横紋が観察される.この横紋は概日リズムを刻んだ成長線のひとつとして知られているが,形成メカニズムについては様々な説がある.非脱灰凍結切片で基質形成期のエナメル基質を抗アメロゲニン抗体で免疫染色すると横紋様パターンを示した.この結果から,横紋は基質形成期のアメロゲニンのタンパク量に依存した石灰化パターンであり,アメロゲニンの発現は概日的に変動するのではないかと推測した.そこで,アメロゲニンの発現に周期があるか観察するために,アメロゲニンプロモーターの下流にルシフェラーゼを繋いだコンストラクト(pGL3-1730-luc)をラットエナメル芽細胞株HAT7に遺伝子導入してアメロゲニンの転写活性を計測したところ,一定の周期をもって変動することが認められた.次に,プロモーター領域のDeletion-mutant (pGL3-464, -74, -48-luc)を作製して周期性の制御に関わる領域を検索した結果, C/EBPαのbindingモチーフが有力な候補と考えられた.その転写はMsx2によって制御を受けることが知られていることから, Msx2の発現ベクターを用いた強制発現の影響を調べたところ,そのリズムが消失した.またMsx2の遺伝子欠損マウスには基質形成の横紋様パターンが見られなかった.以上の結果から, Msx2がアメロゲニンの発現周期に影響していることが推測され,さらにアメロゲニンの発現量の周期的変化によって生じた基質形成パターンが,横紋形成に関与していると考えられた.
- 2012-05-11
著者
-
原田 英光
口腔機能構造学講座口腔組織学分野
-
石関 清人
岩手医科大学歯学部口腔機能構造学講座口腔組織学分野
-
原田 英光
岩手医科大学歯学部口腔解剖学第二講座
-
大島 勇人
新潟大院医歯学総合硬組織形態学
-
大島 勇人
新潟大学大学院医歯学総合研究科硬組織形態学分野
-
原田 英光
九歯大・口解2
-
藤原 尚樹
岩手医科大学歯学部口腔機能構造学講座口腔組織学分野
-
大津 圭史
先進歯科医療研究センター:岩手医科大学歯学部口腔機能構造学講座口腔組織学分野
-
原田 英光
大阪大学 大学院歯学研究科口腔分化発育情報学講座口腔解剖学第一教室
-
大島 勇人
新潟大学 大学院医歯学総合研究科顎顔面再建学講座硬組織形態学分野
-
大島 勇人
新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面再建学講座 硬組織形態学分野
-
及川 愛
岩手医科大学解剖学講座発生生物・再生医学分野
-
石関 清人
岩手医科大学解剖学講座発生生物・再生医学分野
-
大津 圭史
岩手医科大学先進歯科医療研究センター
-
中富 満城
新潟大学大学院医歯学総合研究科顎顔面再建学講座硬組織形態学分野
-
原田 英光
岩手医科大学歯学部口腔機能構造学講座口腔組織学分野
-
大島 勇人
新潟大学大学医歯学総合研究科
-
石関 清人
岩手医科大学医学部解剖学第2講座
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