富士山亜高山帯林の林縁木に発生する萌芽枝
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
森林伐開によって形成された林縁で幹下方から新しい枝(萌芽枝)を生ずる林縁木が観察される。そこで本研究は富士山北・西斜面の亜高山帯に建設されている富士スバルラインおよび御庭林道の道沿い林縁で,主要樹種の萌芽枝発生状況および林縁から林内にかけてシラべ萌芽枝の発生と相対照度との関係について調査,検討した。1. 萌芽枝発生率はシラべ>アオモリトドマツ>カラマツ>ダケカンバ>コメツガの順に高かった。2. シラべの萌芽枝は林縁部で発生率が高く,萌芽本数多く,枝長も長いが,林内に入るにしたがってそれらは減少した。しかし林冠のうっ閉度が低いと林内でも多くの萌芽枝が生じていた。3. シラべの萌芽枝は幹の地上高1m前後のところから力枝の直下まで生ずるが,本来の枝が地表間際まで垂れ下がっている小径木の場合には生じていなかった。4. シラべの萌芽枝の発生時期は個体によって異なり,森林伐開後2年目からかなり長期間にわたって発生しているものと考えられる。5. 林縁部のシラべから発生している枝齢15年生以上の萌芽枝は発生後5年から10年ぐらいまでが最も生長良く年間10cm程度伸長する。しかしそれ以降は生長が除々に鈍化する傾向にあった。6. シラべ林における林縁からの光の影響は林内10m程度までである。7. シラべ萌芽枝の林縁から林内への変化は相対照度のそれとよく対応し,萌芽枝は森林伐開に伴う光の入射の増大によって生ずるものと考えられた。
- 森林立地学会の論文
- 1984-06-30
著者
-
梨本 真
(財)電力中央研究所環境科学研究所生物環境頒域
-
高橋 啓二
緑地保全学研究室:現 緑地生態学研究室
-
高橋 啓二
千葉大学
-
高橋 啓二
千葉大学園芸学部環境緑地学科
-
梨本 真
(財)電力中央研究所我孫子研究所
-
梨本 真
(財)電力中央研究所 我孫子研究所 応用生物部
-
高橋 啓二
緑地保全学研究室
-
高橋 啓二
千葉大学園芸学部
関連論文
- 植物rbcL遺伝子データベースの構築と植食性動物の食性解析への適用(エンドユーザからみたDNAバーコーディング)
- ニホンイヌワシの採餌環境創出を目指した列状間伐の効果
- GISと分類木を用いた林床ササ被覆度の予測と地図化
- 秋田駒ケ岳のイヌワシ行動圏におけるノウサギの生息密度と森林植生との関係
- イヌワシを頂点とする生態系の解明--GISと多変量解析を用いたノウサギ生息密度の予測と地図化
- イヌワシを頂点とする生態系の解明--秋田駒ヶ岳におけるイヌワシの行動圏と狩場の植生
- イヌワシを頂点とする生態系の解明--秋田駒ヶ岳におけるイヌワシの餌搬入量とその構成
- アナグマ・タヌキのため糞からのDNA情報を利用した種判定および個体識別
- タヌキにおけるマイクロサテライトDNAによる個体識別
- P28 森林域におけるノウサギの生息地利用 : 植生環境と標高・傾斜に着目した統計モデリング解析(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- ノウサギ糞からのDNA解析による餌植物同定
- 糞のDNA解析によるノウサギの生息密度の推定
- 秋田駒ケ岳山麓における糞粒法とINTGEP法によるノウサギの生息密度の推定
- 小地域における植生自然度区分とその応用 : II.植生自然度を用いた地域植生の分析
- 小地域における植生自然度区分とその応用 : I.植生自然度の分類方法について
- 自然の再生力を活用した森林管理手法の提案--赤城山南麓のアカマツ林をケーススタディーとして
- 千葉県における木本植物の分布
- 千葉県における残存自然林の分布および種多様度と冬季の温度条件との対応
- 常緑広葉樹二次林におけるアカガシ壮齢樹の雌花生産
- アカマツの球果生産
- 落葉広葉樹二次林におけるコナラの種子生産
- 林内から伐採跡地にかけてのノウサギによる植生利用の変化
- ノウサギの生息密度推定法の現状と課題
- 富士山北面の亜高山帯針葉樹林における雪崩指標とその有効性
- 日本の気候景観-風と樹 風と集落-, 青山高義・小川肇・岡秀一・梅本亨編, 古今書院, 181ページ, 東京, 2000年, 2,800円+税
- 関東地方におけるスギの衰退と土壌の酸性化(平成元年度日本造園学会研究発表論文集(7))
- 土石流堆積によるカラマツ-シラベ林の植生変化
- 都市地域の南・北斜面における二次林の群落構造の比較(1)
- 関東甲信・関西瀬戸内地方におけるスギの衰退現象
- 富士山亜高山帯林の林縁木に発生する萌芽枝
- 柏市におけるスギ林の面積・構造と鳥類相との関係
- 衛星データによる葉面積指数LAIの推定
- 関東地方におけるスギの衰退と酸性降下物による可能性
- 都市周辺域におけるスギ衰退樹の葉中元素含有量
- 関東地方におけるスギ衰退木の着葉形態の特徴
- エンドユーザからみたDNAバーコードプロジェクトの将来展望(エンドユーザからみたDNAバーコーディング)
- 生態系アセスメントのスコーピング支援ツールの開発--地理情報を用いた火力・原子力発電所立地における動物相の推定
- 電力土木技術者のための環境影響調査・評価手法(第6回) : 陸域生態系の環境影響調査手法
- 電力土木技術者のための環境影響調査・評価手法(第6回)陸域生態系の環境影響調査手法
- 6.森林と防災のかかわりについて(シンポジュウム林野火災の生態)
- 森林群落の構造からみた防火機能の評価 : II. 防火機能より見た我孫子市の植生分布
- 森林群落の構造からみた防火機能の評価 : I.森林群落を中心とした防火機能の評価方法
- 富士山西斜面の大沢右岸の異なる標高におけるカラマツの樹齢と分布様式
- 大震災時の広域避難場所における植生の防火機能と調査方法について
- 野生動物カメラトラップ法の高度化 : 単一カメラ画像の3次元座標化による動物サイズ計測
- イヌワシ行動圏におけるノウサギの生息密度の予測と地図化