常緑広葉樹二次林におけるアカガシ壮齢樹の雌花生産
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
千葉県鴨川市の千葉県有林内の常緑広葉樹萌芽再生林で18本のアカガシを伐採し雌花数を数えた.1.伐採の胸高直径は6.2cmから26.4cmにおよび,調査地付近の林冠構成木のほぼ最小径から最大径を含んでいた.個体1本当りの総着花数はゼロから11296個におよんだ.2.着花の豊凶差を指標する樹冠投影面積1m^2当り100個以上の豊作のグループ・数10個程度の並作のグループ・全く着花しないグループに分けられた.しかし,樹齢・胸高直径・樹幹長・樹冠投影面積・年平均直径生長量・形状比等の性質とはいずれも相関関係がなかった.3.個体1本当りの着花数は,バラつきは大きかったが,樹齢と有意な相関関係を持ち,胸高直径,樹幹長ともある程度の相関がみられた.しかし,年平均直径生長量,形状比との間には相関関係はみられなかった.4.枝ごとの着花数は直径の大きい枝ほど,また主幹の上方から分枝した枝ほど多かった.しかし個体間の豊凶差が大きいために同様な枝順位・枝直径間の枝でも着花数の差異は大きかった.5.枝の着花率は枝直径・当年伸長量の増大にともなって単純に増加した.いっぽう,着花数は枝直径の増大にともなって増加するが,当年伸長量の増加に対しては,10〜30cm/年程度の枝で最大となり,それよりも大きくとも小さくとも減少する傾向にあった.ある一定以上の受光条件下では枝ごとに同化生産物を伸長生長・着花への配分を違えている可能性がある.
- 千葉大学の論文
- 1988-03-18
著者
-
高橋 啓二
緑地保全学研究室:現 緑地生態学研究室
-
高橋 啓二
千葉大学
-
沖津 進
緑地保全学研究室:現 緑地生態学研究室
-
池竹 則夫
緑地保全研究室
-
沖津 進
緑地保全研究室
-
高橋 啓二
緑地保全研究室
-
高橋 啓二
緑地保全学研究室
-
高橋 啓二
千葉大学園芸学部
-
池竹 則夫
千葉大学園芸学部:(現)パシフィックコンサルタンツ(株)
関連論文
- 筑波山のスギ・ヒノキ人工林におけるコケ植物,シダ植物,顕花植物の分布と微地形との関係
- Influence of regional climates on the availability of decaying-log microsite for coniferestablishment on Vancouver Island, Canada
- 千葉県沖ノ島遺跡から出土した縄文時代早期のアサ果実
- 関東地方におけるスギの衰退と酸性降下物による可能性
- 柏市におけるスギ林の面積・構造と鳥類相との関係
- 北海道の植生垂直分布と極東ロシアの植生水平分布における対応植生 (日本生態学会55回大会企画集会「アジア太平洋地域の植生の分布と分化」記録)
- オルソ化航空写真の年代間比較による山地湿原の植生変化の検出
- 平ヶ岳湿原におけるハイマツの年輪幅変動とその気候的要因
- 東日本日本海側多雪山地における山地湿原の縮小要因
- ロシア極東沿海地方南部に分布するモンゴリナラ-ヤエガワカンバ林の構造, 更新とヤエガワカンバの植生地理学的意義
- 富士山高山域の異なる土壌粒径上に生育するオンタデ個体群のサイズ分布
- 富士山高山域の異なる土壌粒径上に生育するオンタデの地下形態
- 上越国境山地における積雪の長期変動 : 平ヶ岳の植生変化に関連して
- ササ群落と岩塊地の境界部における野ネズミのミズナラ堅果運搬・貯蔵行動と実生の分布
- 小地域における植生自然度区分とその応用 : II.植生自然度を用いた地域植生の分析
- 小地域における植生自然度区分とその応用 : I.植生自然度の分類方法について
- 千葉県における木本植物の分布
- 千葉県における残存自然林の分布および種多様度と冬季の温度条件との対応
- 胸高直径の差によるクヌギの一年果生産様式の違い
- 常緑広葉樹二次林におけるアカガシ壮齢樹の雌花生産
- アカマツの球果生産
- 落葉広葉樹二次林におけるコナラの種子生産
- 外秩父山地におけるカバノキ林の立地環境と維持機構
- 富士山北面の亜高山帯針葉樹林における雪崩指標とその有効性
- 日本の気候景観-風と樹 風と集落-, 青山高義・小川肇・岡秀一・梅本亨編, 古今書院, 181ページ, 東京, 2000年, 2,800円+税
- 関東地方におけるスギの衰退と土壌の酸性化(平成元年度日本造園学会研究発表論文集(7))
- 土石流堆積によるカラマツ-シラベ林の植生変化
- 都市地域の南・北斜面における二次林の群落構造の比較(1)
- 落葉広葉樹の幼樹期における樹形形成
- 本州中部山岳森林限界付近に分布するダケカンバ林の更新
- 本州中部山岳森林限界付近のダケカンバ萌芽株
- 関東甲信・関西瀬戸内地方におけるスギの衰退現象
- 富士山亜高山帯林の林縁木に発生する萌芽枝
- 柏市におけるスギ林の面積・構造と鳥類相との関係
- 外秩父山地において基盤岩の違いにより規定されるブナの立地特性
- 関東地方におけるスギの衰退と酸性降下物による可能性
- 6.森林と防災のかかわりについて(シンポジュウム林野火災の生態)
- 森林群落の構造からみた防火機能の評価 : II. 防火機能より見た我孫子市の植生分布
- 森林群落の構造からみた防火機能の評価 : I.森林群落を中心とした防火機能の評価方法
- 北東アジアの北方植生としてのハイマツ群落の生態地理
- 植物社会学の群集名の変遷と正式名の選定
- 外秩父山地の地すべり地におけるヤエガワカンバ林の分布要因
- 外秩父山地の地すべり地における微地形と植生分布の関係
- 大震災時の広域避難場所における植生の防火機能と調査方法について
- 植生学の視点と展開
- 筑波山の森林内における蘚苔類の種多様性と基物および生育形との関係