本州中部山岳森林限界付近に分布するダケカンバ林の更新
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概要
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本州中部の鳳風山,木曽駒ヶ岳,西穂高岳において,森林限界付近で純林を形成するダケカンバ林の高木性樹種を対象として,種類組成,胸高直径階分布および更新動態を調査した.1.種類組成は,ダケカンバ以外にはシラベ,オオシラピソ,カラマツ,トウヒなどの亜高山針葉樹林帯の優占種が見られた.このことは,ダケカンバ林の分布域が潜在的には亜高山針葉樹林分布域と重なっていることを示唆する.2.樹種別の優占度をみると針葉樹はわずかで,胸高直径もダケカンバと比べて小さかった.このことは,潜在的な分布範囲内ではあっても針葉樹は成育が制限されていることを示す.3.ダケカンバは逆J型の胸高直径階分布を示し,更新が同所的に継続して安定林を形成していることがわかる.このことは稚樹の調査からも裏付けられ,3山岳ともに十分な稚樹の供給がみられた.このような安定した更新様式は,異所的,不連続な針葉樹林帯内のダケカンバ林と異なっていた.4.稚樹の萌芽割合はいずれの調査地でもかなり高く,後継樹の確保に萌芽が大きな役割を果たしていることがわかる.5.森林限界付近で安定林を形成するカバノキ林帯はスカンジナビアや北東アジアにも知られており,本州中部山岳のものもこれらと対応すると考えられる.
- 千葉大学の論文
- 1992-02-25
著者
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