ミズゴケの微地形分布とニッチ
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概要
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1.北半球に広く分布しているミズゴケについて,分布と微地形に関する研究をいくつか紹介し,ニッチの観点から微地形分布を検討した.2.湿原における微地形は,hummock, lawn, hollowに分けられる.ミズゴケはこの微地形に対応して分布し,節という分類群レベルでは北半球を通じて共通していた.3.Hummock-hollowの微地形は微環境の違いをもたらし,hummockの方がより乾燥しており,より酸性度が高い.酸性度の変化は,ミズゴケのもっている陽イオン交換能力のちがいによるものであり,陽イオン交換能力が高いほどその生育環境の酸性度が高くなる.hummockに分布する種は乾燥に強く,陽イオン交換能力が高い.lawn, hollowに分布する種ほど乾燥に弱い.4.ニッチには基本ニッチと実由ニッチがあり,微地形に沿って分布しているミズゴケのそれぞれの生育地は,互いに何らかの影響を与えあった実現ニッチのニッチ空間である.ミズゴケの微地形分布は,かなり抽象的なニッチの概念を目にみえる形で我々に提示している.
- 千葉大学の論文
- 1996-03-29
著者
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