日本列島におけるチョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis Sieb. et Zucc.)の分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.我が国におけるチョウセンゴヨウの分布を既存資料に基づき整理し,北東アジア大陸部での分布と比較してその特徴を明らかにした.2.水平分布は本州中部地方にほぼ限られ,四国に僅かに隔離分布する.垂直分布は,標商1800m以上の亜高山帯に分布地点の73%が集中し,1800m以下の山地帯には少ない.3.同じような水平分布範囲を示すシラベやトウヒと比較して産地数はかなり少ない.また,ほとんど優占林を作らず,分布しても分布量は少ない.4.北東アジア大陸部では,チョウセンゴヨウは沿海州から中国東北地方,朝鮮半島北部にかけての広い範囲で量的に多く分布し,優占林を形成し,落葉広葉樹と混交してチョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林を作るとともに,垂直分布の上からは常緑針葉樹林帯の下部の山地帯が分布の中心となってしいる.5.北東アジア大陸部での分布と比較すると,我が国のチョウセンゴヨウは,垂直分布域の下部を山地帯性の樹種に占拠された形になっており,そこでは分布が消えるか,ごく局限された状態で,亜高山域に追い上げられた形となっている.
- 1997-03-28
著者
関連論文
- 千葉県木質バイオマス新用途開発プロジェクトから山武町バイオマスタウン構想の展開へ(プロジェクト研究展望)
- 浅間山麓と戸隠山麓に分布するハルニレ林の構造と更新
- フィリピンの海岸林に生育するOchrosia oppositifolia (Lam.) K. Schum.(キョウチクトウ科)の現在の分布範囲と散布様式についての考察
- ミズゴケの微地形分布とニッチ
- 本州中部霧ヶ峰西斜面頂上部から下部にかけてのニッコウキスゲの条数と結果率の変化
- 落葉広葉樹の幼樹期における樹形形成
- 本州中部山岳森林限界付近に分布するダケカンバ林の更新
- 本州中部山岳森林限界付近のダケカンバ萌芽株
- 上越国境平ヶ岳湿原乾燥化の一因としての積雪深経年変動
- 日本列島におけるチョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis Sieb. et Zucc.)の分布
- 弥生時代終末から古墳時代初頭の房総半島中部に分布したイチイガシ林