浅間山麓と戸隠山麓に分布するハルニレ林の構造と更新
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概要
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本州中部の浅間山麓と戸隠山麓において,安定した立地及びやや不安定な立地に成立したハルニレ林の構造を調査比較し,ハルニレ林の更新様式について考察した.1.撹乱のない安定した立地に成立するハルニレ林は,ハルニレが高木層にのみ分布した.一方撹乱の起こる不安定な立地に成立するハルニレ林は,ハルニレが高木層だけでなく亜高木層,低木層にも分布した.2.ハルニレは樹高成長の速い,先駆的な樹種特性をもつことが示された.しかし,典型的な先駆種であるシラカンバ,キハダと比べると,遷移のより後期にまで侵入,成長できることがわかった.3.ハルニレ実生は不安定な立地にのみ出現し,安定した立地には出現しなかった.このことは,不安定な立地に成立するハルニレ林は継続的に更新していることを示す.4.ハルニレ林が成立する扇状地や河畔などでは,洪水などの大きな撹乱が断続的に起きる.ハルニレは長い寿命をもつことで,こうした撹乱を更新の機会として待ち続け,林を維持していると考えられる.
- 1995-03-30
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