フィリピンの海岸林に生育するOchrosia oppositifolia (Lam.) K. Schum.(キョウチクトウ科)の現在の分布範囲と散布様式についての考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
フィリピンの海岸林に生育するOchrosia oppositifolia (Lam.) K. Schum.(キョウチクトウ科)の現在の分布範囲を明らかにし,散布様式を検討することで分布の成立過程を議論した.シマソケイ; O. oppositifoliaはマレーシアから太平洋諸島を中心に広く分布するが,フィリピンでは西部のバシラン島とミンダナオ島西部のザンボアンガ半島およびルバング島の3カ所に限って分布する.このような分布様式から,植物はフィリピンには西マレーシアから渡ってきたものと考えられる.果実の形態などから,この植物は海流による散布で長い距離を移動可能といえる.それにも関わらずフィリピンでの分布域が限定されていることから,西マレーシアから比較的最近渡ってきたものと考えられる.そのような植物には他にArtocarpus superba Beccari, Mallotus miquelianus (Scheff.) Boere., Mezoneurum sumatranum (Roxb.) W. et A.などがある.更新世から完新世にかけて存在したと推定されているボルネオーパラワン陸橋とボルネオースル陸橋が海岸伝いの回廊の役割を果たし,そこを通ることによって,フィリピンへの移動がかなり容易になったものと推定される.
- 1997-03-28
著者
-
沖津 進
緑地生態学研究室
-
Jr. Inocencio
大学院自然科学研究科
-
Aguilar Norma
Laboratory of Ethnomorphosystematics, Institute of Biological Sciences, University of the Philippine
-
Aguilar Norma
Laboratory Of Ethnomorphosystematics Institute Of Biological Sciences University Of The Philippines
-
Aguilar N.O.
Laboratory of Ethnomorphosystematics, Institute of Biological Sciences, University of the Philippines
-
Buot Jr.
大学院自然科学研究科
関連論文
- 千葉県木質バイオマス新用途開発プロジェクトから山武町バイオマスタウン構想の展開へ(プロジェクト研究展望)
- 浅間山麓と戸隠山麓に分布するハルニレ林の構造と更新
- フィリピンの海岸林に生育するOchrosia oppositifolia (Lam.) K. Schum.(キョウチクトウ科)の現在の分布範囲と散布様式についての考察
- ミズゴケの微地形分布とニッチ
- 本州中部霧ヶ峰西斜面頂上部から下部にかけてのニッコウキスゲの条数と結果率の変化
- 落葉広葉樹の幼樹期における樹形形成
- 本州中部山岳森林限界付近に分布するダケカンバ林の更新
- 本州中部山岳森林限界付近のダケカンバ萌芽株
- 上越国境平ヶ岳湿原乾燥化の一因としての積雪深経年変動
- 日本列島におけるチョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis Sieb. et Zucc.)の分布