妊婦の身体感覚と胎児への愛着との関連性 : 初産婦と経産婦の比較検討

概要

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本研究では,初産婦と経産婦を対象に妊婦身体感覚尺度の信頼性と妥当性を検証し,本尺度の汎用性の有無を検討した。また,初産婦と経産婦がもつ妊婦身体感覚の相違と,妊婦身体感覚と胎児への愛着との関係性も比較検討した。分析対象妊婦422名のうち初産婦272名,経産婦150名であった。因子分析の結果,初産婦,経産婦共に,妊婦の身体感覚は「全身的身体感覚」「局所的身体感覚」「胎児位置身体感覚」の3因子構造の解釈が妥当であることが示唆された。その結果,妊娠中期では「助産所あり」の経産婦は,初産婦に比して胎児位置身体感覚が有意(P<0.05)に高かった。妊娠末期では,「病院」の経産婦は,初産婦に比して全身的身体感覚が有意(P<0.01)に高かった。一方,初産婦は,経産婦に比して胎児愛着得点が高かった。この他,妊娠中期には初産婦,経産婦共に胎児位置身体感覚と胎児愛着尺度に比較的強い相関(r=0.391,r=0.520)があった。妊娠末期では経産婦の胎児位置身体感覚と胎児愛着尺度に弱い相関(r=0.317)を認め,全身的身体感覚は負の相関(r=-0.329)を認めた。以上のことから,初産婦,経産婦共に胎児位置身体感覚は胎児への愛着を促すうえで重要な位置づけにあると考えられた。