妊婦の歯周病と口腔内自覚症状・口腔ケアとの関連

概要

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妊婦の歯周病は早産・低出生体重児出産のリスク上昇に関連があると報告されており,妊婦の口腔内健康の保持は重要である。本研究では妊婦の歯周組織の状態,口腔内症状,口腔ケアの状況について検討した。歯科検診を含む妊婦健診受診者288名に調査を依頼した。歯周組織の状態はCPI(Community Periodontal Index)を用いて評価した。歯周病の自覚症状,つわり関連症状,口腔ケアの状況,飲食頻度について過去1週間の自覚頻度を調査した。有効回答203名中140名(69%)の妊婦が歯周病を合併していた。歯周病の有無と妊娠週数,年齢,既往分娩歴,喫煙には関連が認められなかった。臨床上有意な歯周病合併妊婦の歯周病の自覚症状は「歯磨き時の出血」,つわり関連症状は「口渇」であったが,自覚症状だけで歯周病の有無の判断は困難であった。歯周病の有無で有意差があった口腔ケアは「過去1年間の歯石除去」と「デンタルフロスの使用」であった。妊婦の歯周病は特徴的な自覚症状や危険因子に乏しく,周産期医療従事者は妊婦の歯周病予防,早期発見,早期治療のために,歯科検診を全妊婦に促していく必要があると考えられた。