土壌シードバンクを用いた谷戸植生復元に関する研究
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概要
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国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)内の谷戸の放棄水田跡地において土壌シードバンクを調査した.谷戸谷底面の植生を代表するヨシ群落,チゴザサ群落,およびハンノキ群落から土壌(各0.1m^3,総計0.3m^3)を採取し,水分を一定に保つことのできる実験槽にまきだし,出現する実生の種,量および発芽季節を調べた.出現した実生を定期的に同定して抜き取る出現実生調査法と,実生をそのまま生育させて成立する植生を調査する成立植生調査法とを併行して実施し,5月中旬から12月下旬までの間に,前者では25種,合計6824個体,後者では26種,合計2210個体の種子植物を確認した.出現種の大部分は低湿地に特有の種であり,特に多くの実生が得られたのは,ホタルイ,アゼガヤツリ(あるいはカワラスガナ),チゴザサ,タネツケバナであった.また成立植生調査法で確認された個体数は,出現実生調査法の半数に過ぎないものの,ほぼ全ての種を確認することができた.調査地の土壌シードバンクは,植生復元のための種子材料として有効であること,また,土壌水分を一定に保てば,土壌をまきだしてから数ヵ月後に成立した植生を調べるだけで土壌シードバンクの種組成を把握できることが明らかになった.
- 1998-01-20
著者
-
長田 光世
宇都宮大学院農学研究科
-
鷲谷 いづみ
筑波大学生物科学系
-
荒木 佐智子
東京大・農学生命科学
-
荒木 佐智子
筑波大学生物科学
-
田中 隆
建設省土木研究所環境部:(現)(財)都市緑化技術開発機構
-
日置 佳之
建設省土木研究所
-
荒木 佐知子
東京大学農学生命科学研究科
-
日置 佳之
鳥取大学農学部
-
越水 麻子
筑波大学環境科学研究科
-
長田 光世
宇都宮大学農学部農業環境工学科
-
田中 隆
建設省土木研究所環境部
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