霞ヶ浦の浚渫土まきだし地に成立する植生
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概要
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水辺の植生復元への浚渫土利用の有効性を検討するため,1997年の春に霞ヶ浦の浚渫土がまきだされた茨城県稲敷郡桜川村と東町にまたがる処分地で,1998年4月から10月にかけて植物相と植生の調査をした.調査地全体(8.1ha)で182種の維管束植物が確認された.調査地でわずかな面積を占める止水域は,それ以外の場所とは植物相を異にし,14種(止水域での出現種の48%)の水生植物を含め,過去に霞ヶ浦湖岸の植物相調査で確認されている種を多く(止水域での出現種の62%)含んでいた.処分地の面積のかなりの部分はカワヤナギが優占するヤナギ林(0.2本/m^2〜6.3本/m^2)におおわれており,調査地の大部分を占める非冠水域での植生調査では,草本層には耕地雑草とされる種が高い頻度で出現した.浚渫土は植生復元の材料として有望であり,常時冠水する場所にまきだすことによって,水生植物を多く含む植生を立させ得る可能性が示唆された.
- 日本生態学会の論文
- 1999-06-25
著者
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鷲谷 いづみ
筑波大学生物科学系
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路川 宗夫
筑波大学研究協力部
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村中 孝司
筑波大学生物科学
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大村 理恵子
筑波大学第二学群生物学類
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大村 理恵子
筑波大学第二学群生物学類:(現)中外テクノス株式会社関西環境技術センター
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