随伴性の心理学 : 手続き施行者の感情
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概要
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本論文では,随伴性の心理学の知見を用いて条件づけの手続きの施行者と被施行者の関係,および,第3者の存在の有無が,それぞれの人間に生させる感情を理論的に考察することを目的とする。条件づけの手続きを施行する際に生じる感情を考える場合に,手続き施行者と被施行者との関係を考慮する必要がない(純粋に手続きに関する文化的感情や個人の履歴による感情のみを考慮すればよい)場合と施行者と被施行者の関係が2者間で明確な場合(施行者と被施行者との関係によって同じ手続きでも,2者間で生じる感情が異なっている場合)があり,手続き施行者の被施行者に対する感情,手続き施行者の手続きそのものに対する感情,さらに,施行者が被施行者との関係の中で手続きを施行することに対する感情も考慮する必要がある。また,施行者と被施行者という2者間の関係にしろ,施行者,被施行者,および,第3者(観察者,および,手続き施行についての情報が伝わる可能性がある人物)という3者間の関係にしろ,施行者が被施行者に行う手続きが誰のためのものなのかによって3者間に生じる感情が異なってくる。さらに,条件づけの手続きを行う際に人間関係が強化子として用いられる場合があり,また,施行者,被施行者,第3者そのものが強化子としての機能を有する場合には,それぞれの人間関係のみではなく,それらの両方の観点でそれぞれの人間に生じる感情を考慮する必要があるだろう。手続きについての解釈は,文化的に蓋然性が高いもの,さらに,個人的に蓋然性が高いものが採択されると考えられ,文化や社会的立場の違い,手続き施行についての情報伝達の有無などの違いによって,施行者と被施行者に共通のものとなる場合,施行者と被施行者が別々の解釈を持つ場合もある。これは,施行者と被施行者の関係によって,2者間で共通の手続きについての解釈が変わってくるという場合と施行者と被施行者の2者間で解釈が異なってくる場合があるという2つの意味が含まれている。
著者
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