占い用語が文章の信頼度に及ぼす影響
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概要
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本研究は,星座別占いに使用されている文章から占い文章と随伴性文章を抽出し,3つの調査により,占い文章の文章全体に対する信頼度への影響を検討した。調査Iは,雑誌に掲載されている占いの記述を占い文章と随伴性文章に分解し,占い文章が信頼度に及ぼす影響を検討することを目的とした。この調査では,全体的に,占い文章は随伴性文章よりも信頼度が有意に低いという結果が得られた。調査IIは,調査Iで使用した文章から,好調運・低調運・好相性・悪相性についての文章を抽出し,占いに対する所信と占い文章が言語行動としてもつ信頼度との関係を検討することを目的とした。この調査では,占いの理論を信じている人は,占い用語によって文章の信頼度が有意に高くなるという結果が得られた。調査IIIは,星占いに使用されている文章から占い文章と随伴性文章を抽出し,調査法により,占い文章の文章全体に対する言語行動としての信頼度への影響を検討することを目的とした。この調査では,占い用語と随伴性文章の組み合わせにより,信頼度が影響を受けることが確認された。全体的に,占い用語は随伴性文章を含めた文章全体に対する信頼度に影響を及ぼしルール支配行動の先行刺激としての機能をもたせる働きをする場合があると考えられる。しかし,より考える必要がある点は,占い用語の存在が文章の信頼度を低めたり高めたりするということではなく,所信によって若干の違いがあるという点を除いて,占い用語の存在が随伴性文章を含めた文章全体に影響を及ぼさない場合が多いということである。雑誌やTVの占いのコーナーを読んだり見たりするのは,それが占いであるからであると考えられるが,そこで伝えられる占いの情報が日常生活における感情や行動に影響を及ぼす場合は,占い理論における説明(因果関係)であるというよりも,その情報がある程度の信頼度をもつ随伴性文章であるからであり,中丸(1997)が述べているように,感情の制御や思考や行動のレパートリーを広げるのに利用できることが示唆されている。
著者
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