適応型言語能力検査(ATLAN)の作成とその評価
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概要
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本研究では,主に学童期の子ども達を対象とした,項目反応理論に基づく適応型言語能力検査を開発した。その際,幼児期までとは異なる,学童期に固有の言語能力である読み能力に焦点を当て,それと密接に関連する語彙と漢字の2種類の検査を作成した。語彙検査は幼稚園年中児〜中学3年生まで計3,076名,漢字検査は小学校1年生〜中学3年生まで計4,463名の結果に基づいて作成された。困難度・識別力という2つの項目パラメータを持った項目群からなる項目プールを用意し,スタンドアロンのパソコン上,およびネットワークを介してWeb上で動作する適応型言語能力検査(ATLAN)を開発した。項目プール作成時に実施した紙版検査の受検者の解答パターンを利用してシミュレーションを行ったところ,十分な再現性が得られ,ATLANが能力推定の面で問題がないことが示された。また,既存の語彙,漢字課題との間にも中程度の相関が見られ,検査として妥当性があることが示された。さらに,紙版の課題に比べ少ない問題数でありながら,受検者ごとに異なる問題,問題パターンが出題され,受検者の解答に応じて出題する問題を変える適応型の検査として機能していることが確かめられた。最後に,実用に向けた今後の課題について議論された。
- 日本教育心理学会の論文
- 2009-06-30
著者
-
高橋 登
大阪教育大学教育学部
-
中村 知靖
九州大学大学院人間環境学研究科
-
高橋 登
大阪教育大学心理学教室
-
高橋 登
大阪教育大学
-
中村 知靖
九州大学大学院人間環境学研究院
-
中村 知靖
九州大学大学院
-
高橋 登
大阪教育大学教育学部学校教育講座
-
高橋 登
大阪教育大
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