母乳中免疫物質と母親のストレスとの関連に関する文献検討
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概要
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<目的>免疫産生能が未熟な新生児にとって,母体からの受動免疫が重要であることは周知のとおりである。母乳を介して児に移行すると考えられる免疫物質は,母親のストレス状態によってその濃度が増減するとの研究報告が散見される。本研究の目的は先行研究論文を試料とし,母乳中免疫物質と母親のストレスとの関連およびその研究方法について整理,検討することにある。<方法>1983〜2006年までの期間に,母乳中免疫物質と母親のストレスとの関係について研究された国内文献を「医学中央雑誌web版Ver.4」を用いて「母乳」「母親のストレス」「免疫」をキーワードとして検索,海外文献を「Pub med」を用いて「milk immune」「stress」「Stress of mothers during the puerperal period」「milk immunological substance」「the effect of postpartum stress」をキーワードとして検索,抽出した。<結果>母乳中免疫物質と母親のストレス要因について研究された論文は13件あった。ストレスとの関連が検討された因子は,母親の「栄養状態」をはじめ11因子であった。一方,母乳中免疫物質としては主に「SIgA」が指標として取り上げられており,評価時期は産後48〜72時間から産後1週以内が6件,産後2〜3ヵ月が6件,4〜6ヵ月が1件であった。<考察>母乳中免疫物質と母親のストレスとの関連についての研究は多いとはいえない。また,指標とする免疫物質の種類,母親のストレスの種類および調査時期と,おのおのの関連などについて幅広く検討する必要がある。
著者
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江守 陽子
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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江守 陽子
筑波大学大学院人間総合科学研究科看護科学専攻
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江守 陽子
筑波大学大学院
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川野 亜津子
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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宮川 幸代
筑波大学大学院人間総合科学研究科
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