日本麺用小麦の生地物性に対するGlu-A1とGlu-D1対立遺伝子の相互作用とGlu-A1対立遺伝子のPCRマーカーの開発
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概要
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日本の麺用小麦はオーストラリアからの輸入小麦銘柄(ASW)と比べて製麺適性が劣っている.西日本の小麦品種には高分子量ダルテニンサブユニット(HMW-GS)がGlu-A1座の対立遺伝子がコードするサブユニットが欠失型(null)でGlu-B1座が7+8,Glu-D1座が2.2+12や2+12をもつ品種が多数を占める.そこで,これらの高分子量グルテニンサブユニットの小麦粉生地物性への影響を小麦品種「ふくさやか」を反復親として,8種類の準同質遺伝子系統を作出して分析した.Glu-D1座が2.2+12をコードする系統では,Glu-A1座が欠失型の場合,Glu-A1座がサブユニット1をコードする系統と比べて不溶性ポリマー含有率か有意に低く,小麦粉の生地物性も弱かった.とくに日本品種に多く見られるnull,7+8,2.2+12のサブユニット構成は最も弱い物性を示した.一方,Glu-D1座が2+12をコードする系統では,Glu-A1座のサブユニットの有無による不溶性ポリマータンパク質や生地物性への影響は小さかった.これらのことからGlu-A1座とGlu-D1座の対立遺伝子の組合せが,小麦の加工適性に大きく影響していることか明らかになった.これまでHMW-GS構成はSDS-PAGEを用いて判別するのが一般的であったが,サブユニット構成によってはGlu-A1座のサブユニットの判定が困難な場合がある.そこで,Glu-A1座のサブユニット1(Glu-A1a),2^*(Glu-A1b)およびnull(Glu-A1c)を判別するPCRマーカーを開発した.
- 2008-06-01
著者
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池田 達哉
近畿中国四国農業研究センター
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石川 直幸
近畿中国四国農業研究センター
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池田 達哉
農業・生物系特定産業技術研究機構近畿中国四国農業研究センター作物開発部育種工学研究室
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高田 兼則
近畿中国四国農業研究センター
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谷中 美貴子
近畿中国四国農業研究センター
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谷中 美貴子
農研機構 近畿中国四国農業研究センター
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高田 兼則
農研機構 近畿中国四国農業研究センター
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池田 達哉
近畿中国四国農業総合研究センター
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