製粉歩留が高くめんの食感が優れる多収小麦品種「ふくほのか」の育成
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概要
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小麦品種「ふくほのか」(旧系統名「中国151号」)は,中国農業試験場(現・近畿中国四国農業研究センター)において1991年4月に「西海168号/中系5358」のF1を母親,「関東107号/中系5385」のF1を父親とする交配を行い,その後代から派生系統育種方により育成され,2005年12月に小麦農林164号「ふくほのか」として命名登録された.それと同時に品種登録出願し,2009年9月28日に登録された(登録番号第18496号).「ふくほのか」は播性Iの春播型で,出穂期と成熟期が「シロガネコムギ」並みに早く,「農林61号」と比べると出穂が4日,成熟が3日早い.稈長は「シロガネコムギ」より10cm余り長く,「農林61号」や「シラサギコムギ」より5cm前後短い.穂発芽と赤さび病(近畿中国地域のレース)に強く,赤かび病抵抗性は「農林61号」と同程度の"中",うどんこ病抵抗性は"弱"である.フレッケン(葉身の淡黄色斑点)はほとんど発生しない.収量は「シロガネコムギ」や「シラサギコムギ」と比べて約1割多い.「ふくほのか」は製粉歩留とミリングスコアが高く,やや低アミロースの軟質・中力の品種である.小麦粉の色は「農林61号」より優れるが「シロガネコムギ」よりやや劣る.うどんの官能評価は食管の評価が高く,合計点が「農林61号」より4~7点高い.「ふくほのか」の栽培適地は温暖地・暖地の平坦地で,兵庫県と岡山県で作付けが始まっている.「ふくほのか」は多収のためタンパク質含有率が低くなりがちである.したがって実肥の施用等,用途に適したタンパク質含有率になるような栽培管理が必要である.
- 2011-02-00
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