数字査定法の理論的考察
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概要
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確率論的視点から,また,ポアソン回帰やコックス回帰などの線型モデルから,数字査定法の理論構築を試みた。条件付確率の式に,確率論の「独立」条件を追加することにより,数字査定法による加算法が,重複リスクの近似解であることを示した。独立条件下の理論解は,加算ではなく積算となる。線型モデルでは,「交互作用がない」はリスクの積算と同値であり,同様に近似解として加算法が適用可能である。実務への応用を考えれば,加算性の成立要件の実証は重要であるが,個々の危険因子に関して確率論から得られる関係式の実証は,"年齢性別調整"と"集団規模"を考慮すると現実には困難である。しかし理論的に厳密な成立要件の実証は,実務への応用の局面では必ずしも必須ではなく,許容範囲にあるか否かが確認できれば十分である。一方で医学的リスク因子の多くは,軽微ではあっても何らかの関連性があると考えられるので,独立性を前提とする理論構成による「仮想現実」から離れ,相関関係の存在を前提とする評価法を開発し運用することの方が,今後はより重要になって来る可能性がある。
- 日本保険医学会の論文
- 2007-06-17
著者
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