ソルゴーの利用について : 第3報 細胞膜構成物質について
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概要
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イタリアンライグラス乾草,青刈ソルゴー葉部,葉鞘・茎部およびこれらを牛に給与して排泄された糞のNDF含量,NDFの組成,in vivo法(絹袋法)ならびにin vitro法によるこれら試料の乾物,NDFなどの消失の傾向を検討し次の結果を得た。1.NDFの含量は3種の飼料とも大差が認められなかったが,NDFの見かけの消化率はイタリアンライグラス乾草,青刈ソルゴー葉部および葉鞘・茎部それぞれ82.0%,67.9%,51.7%であった。また,乾物の消化率はそれぞれ71.8%,65.9%,58.7%であるので,イタリアンライグラス乾草の細胞内容物の見かけの消化率は著しく低く,葉鞘・茎部のそれよりも低いものであった。細胞内容物の消化率をすべて98%とすれば,葉部,イタリアンライグラス乾草,葉鞘・茎部のそれぞれのNDFの消化率は58%,46%,36%であった。2.青刈ソルゴーでは生育が進むにともない葉鞘・茎部ではNDF,ADF,リグニン含量とも増加する傾向が認められたが,葉部では,ADF,リグニン含量は増加したがNDF含量はほとんど変化しなかった。3.in vivo法(絹袋法)によって得られた乾物消失率はイタリアンライグラス乾草を除き60時間でほぼ消化試験によって得られた乾物消化率に一致する値が得られたが,その内容を検討すると乾物およびNDFともほぼ同一の割合で消失しており,消化試験によって得られた乾物およびNDFの消化の様相とはまったく一致していなかった。4.NDFのin vitro法による消失率は培養72時間でほぼそれらの消化率に一致する値が得られた。イタリアンライグラス乾草,葉部,葉鞘・茎部のNDFともその順序で明確に消失率の差が認められた。また,糞の乾物消失率およびそのNDFの消失率はいずれも著しく低く20%以下であった。5.NDFとそのNDFを脱リグニン化した場合の消失率についてin vitro法で両者を比較すると,後者の消失率は前者を上まわった。とくに青刈ソルゴー葉鞘・茎部糞の場合は著しく,脱リグニン前に比較して約2倍に上昇した。
- 日本草地学会の論文
- 1973-04-25
著者
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